東京・谷中に拠点を置くHAGISO(宮崎晃吉代表)は、社内の空き空間をリノベーションし、地域の学び場(まちの教室「KLASS」)として活用している。
8月28日、韓国在住の建築家・冨井正憲氏が講師を務めた講演会「600年の古都ソウルの都市と建築のはなし」をKLASSで開催、30人が聴講した。
8月28日、韓国在住の建築家・冨井正憲氏が都内で講演
元漢陽大学建築学部招へい教授の冨井氏は、「韓国の建築を最もよく理解する日本人」として業界で有名。講演のコーディネーターを務めた作家の森まゆみさんとの縁で今回の講演が実現した。
冨井氏は、朝鮮王朝時代から今日のソウルに至るまでの600年のソウルの都市空間の建築様式について語った。世界遺産に指定されている昌慶宮や宗廟は「山を背にし、川に面した」建築様式であり、儒教だけでなく風水(道教)に基づく。仏教が衰退した朝鮮時代でも、儒教一色で建築が語れるのではない。
碁盤目状の都城が平地に作られる歴代の中国や日本の王朝と異なり、山に囲まれたイメージの韓国の都市空間は、独自の文化的発展を遂げた。その例として、冨井氏は炊事で発生した熱の活用に着想を得た、オンドル(床暖房)の文化を紹介した。
植民地時代、韓半島での生活に未来性を感じた日本の人々が、最新鋭の近代建築技術を持ち込んでいた点などに対し、冨井氏は独自の観点から解説を行った。
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