韓日国交正常化60周年を記念した祝賀行事が続く中、反国家団体である在日本朝鮮人総連合会(朝総連)は24日、東京朝鮮文化会館で結成70年を祝う文化公演などのイベントを行った。今回は、朝総連がこれまで歩んできた民族反逆の歴史について、時系列的なポイントを押さえつつ振り返ってみたい。
従北勢力に警戒
在日社会には、韓半島分断80年間にわたり大韓民国の自由民主主義体制と敵対、攻撃を加えてきた二つの反国家団体がある。朝総連と韓統連(在日韓国民主統一連合)だ。
朝総連は、平壌側が日本に移植した朝鮮労働党の前衛組織、日本支部であり、韓統連(旧韓民統)はその別動隊だ。
朝総連の正体・本質は、金日成封建王朝・神聖体制の奴隷である。
■在日社会に徹底して敵対
朝総連が公式結成されたのは1955年5月25日だ。朝総連の前身である朝連(在日本朝鮮人連盟)は解放(45年8月15日)の直後、結成された。6・25南侵に呼応して再建された民戦(在日朝鮮統一民主戦線)と祖防委(祖国防衛委員会)は紆余曲折の末、平壌側が停戦協定に応じた後、54年に在日朝鮮人を北韓住民であると宣言するや、韓徳銖らが民戦と祖防委を解散、朝総連を結成した。
在日韓国・朝鮮人は55年、不法滞在者を含め60万人を超えた。彼らを政治的に組織し、戦後日本に蔓延した革新左翼の風潮を利用・動員することで、北側が日本を舞台にした冷戦で韓国より優位に立ったのは当然だったろう。
■北送事業の許しがたい悪
朝総連の民族史的罪悪の最たるものは、金日成の独裁体制強化のために約9万3000人の同胞をだまし北韓に送ったことだ。朝総連はこの北送工作(59~84年)を通じて人的・財政的な組織基盤を確立、日本社会に広範な工作インフラを作ることができた。
朝総連は勢力拡大のため”民族教育”に力を入れた。しかし、その主な内容とは差別・迫害・弾圧など民族的、階級的憎悪と敵愾心を無限に刺激、注入するものだった。在日同胞たちを自ら閉鎖的社会の中で孤立させ、日本社会との関係遮断、根絶化に誘導している。
大韓民国の自由民主主義の憲法価値を守る唯一の法的装置は、国家保安法だ。そして韓国で朝鮮労働党と冷戦を戦う司令塔として組織されたのが5・16後に誕生した中央情報部だ。つまり、中央情報部(安企部、国情院)こそが共産全体主義と戦ってきた司令塔といえる。
■〝赤化〟統一が従北の核心
朝総連・韓統連など敵対勢力が過去70年間、究極の目標、核心としてきたのは”赤化”統一の障害となる(1)在韓米軍の撤収(2)国家保安法の廃止(3)安企部の解体だ。朝総連のあらゆる組織と活動は、これらの目標のための過程であり、手段に過ぎない。
■韓日国交正常化で離脱増
朝総連が最初に挫折、危機を迎えたのは韓日国交正常化(65年)だった。それ以前に80%対20%程度だった外国人登録上の「朝鮮籍」と韓国籍の比率が、5年後に五分五分(およそ30万人対30万人)となるなど、韓国籍と協定永住権の申請が急増した。韓日国交正常化が第1次「大量脱北」事態を呼んだのだ。
金日成は特段の「配慮」を演出し始めた。67年11月の第4期最高人民会議代議員選出時から、朝総連の指導部に最高人民会議代議員7人を割り当てた。
なお、代議員は概ね人口3~4万人に1人の割合で配当される。70年代の朝総連に7人を割り当てたのは基準に適合したものといえよう。
75年秋、韓国政府は朝総連系在日同胞らに対する人道的訪韓を許可。平壌側から暗殺の標的とされてきた朴正煕大統領は、前年の光復節で朝総連が送った刺客・文世光により陸英修夫人が被弾、亡くなったにもかかわらず朝総連系在日同胞らの包容へと乗り出した。そのため、第2次「大量脱北」事態が起きた。
■95%減した組織インフラ
朝総連が何を重視するのかを端的に示しているのが、最高人民会議の代議員割り当て(朝総連議長、副議長、女盟委員長、商工連会長、朝鮮大学校長)と傘下団体の序列である。商工連(資金)、朝青(後継世代)、女盟、青商会(資金)、教職同(民族教育)の順序となる。
日本法務省の最新統計によると、2024年末時点での朝鮮籍に該当する在留外国人の数は2万3206人。1970年代に労働党の日本支部のために作ったインフラの10分の1にも満たない。韓国に定着した脱北者よりはるかに少なく、最高人民会議の代議員1人の割り当て基準にも合致するものではない。
70年前の趨勢からすれば95%減に相当する「大量脱北」の現況にもかかわらず、朝総連がいまだ消滅していないのは、韓国の従北勢力・従北政権が彼らを延命させているためだ。
最後に、今日の朝総連を巡って、警戒を強めるべきポイントを押さえておく。「日朝韓三国平和を考える会」は衆議院議員会館とオンラインで29日、「なぜいま日朝国交正常化が必要か」と題し院内集会をハイブリッド形式で開催。
今年2月の本紙では、尹錫悦前大統領の弾劾罷免を巡り、連帯を強めた日本の左派系市民団体による韓統連への協力や、彼らの実態について少し触れた。
先月4日、尹前大統領を罷免して以降、それまで水面下で動いていたと思われる日本と北韓の国交正常化をねらう従北勢力の集会が各地で本格化している。
韓日国交正常化60周年を様々なかたちで妨害、排除してくる従北系活動家の敵意に対し、在日同胞社会は警戒を怠ってはならない。
 | | 朝総連結成から4年後の1959年12月28日、新潟を出港する第三次北送船(撮影:小島晴則氏)
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