北側首席代表が国連司令部の席代表に金日成のメッセージを伝えたいと非公開会談を要請し、8月21日12時から15分間会談が開かれた。
国連側の首席代表は通常の停戦委本会談の時とは違って、戦闘服を着て出席した。中国側代表は参加しなかった。北韓側代表は、人民軍総司令官が国連軍司令官へのメッセージを伝えるよう命令を受けたと話した後、以下のように発言した。
「板門店で、長い間大きな事件が起きずにきたことは良いことだ。今回、板門店共同警備区域で起こった事件は残念なことだ。(再発を防ぐ)努力が必ず設けられ、未来にはそのような事件が再発されてはならない。そのためには両側が努力しなければならない。われわれはあなた側が挑発を防ぐように促す。われわれ側は先に挑発をしないし、ただ挑発が発生すれば自衛的措置を取るだろう。これは私たちの変わらぬ立場である」
(英文メッセージは省略)
北韓側首席代表は「最も速い時間に国連司令官に伝達することを希望する」と言った。国連軍首席代表は「受け取り、メッセージの伝達を履行する」と答えた。
北側の首席代表は、「あなた側が今朝、事前の通告なしに数百人の完全武装した兵士たちをJSAに投入したのは再び挑発を恣行したことだ。あなた側のそのような行動は8月18日に起きた事件のような原因となる。私はそのような挑発をしないことを強く求める」と発言した。
国連軍代表は、金日成メッセージの写本を要求した。北韓側首席代表は写本がないと言い、彼らの発言に対する回答を要求した。国連軍首席代表は「私はメッセージを受けに来て、もっと言うことがないと言った。非公開会談は終わった。写本と関係なく、JSAでの会談はすべて録音される」と言った。
1953年7月27日の停戦協定締結後23年ぶりに北韓人民軍司令官が国連軍司令官に送った初めてのメッセージだった。非公開会談の要求は、停戦委の本会談の際、すべての発言が建物の外で聞くことができるように放送される点を北韓側が意識したためだと見られた。
平壌側が国連史司令部のポプラの木切断作戦開始後5時間で、金日成の遺憾表明のメッセージを国連司令部に伝えてきたのは、板門店の現場からの報告を受けて取った措置としてはあまりにも迅速な反応だ。ワシントンが拡戦を望んでいないという意味を、いろんな経路で北側に知らせた可能性も考えられる。
板門店斧蛮行事件で米軍将校を殺害する現場を指揮した北側将校(中尉階級)は処罰されず、事件後も板門店に勤務したが、8年後に板門店でソ連観光客が南側に帰順する事件が発生したとき、警備兵力間の銃撃戦の際、米軍に射殺されたという。米軍は結局、復讐した。
元朝鮮労働党対外調査部の副部長の証言録によると、この板門店事件は当時、金日成ではなく後継の授業中だった金正日の指示だったという。当時、北側は金正日が後継体制を構築していく過程だったため、金正日は全国で起こるすべての状況を統制していた。金正日は当時、国連軍が板門店でポプラの木の剪定をするという報告を受け、「朝鮮人として見せしめに懲らしめろ。ただし、南朝鮮労務者は触ったり銃を使わず米帝の奴らを懲らしめろ」と指示したという。
この事件は、いろんな面で韓国軍には貴重な教訓になった。
(つづく) |