尹錫悦大統領が戒厳令を宣布した理由の一つに不正選挙を挙げている。尹大統領とその支持者が主張する不正選挙の具体的な内容は、以下のようなものだ。(1)電子投票システムへの不正アクセス(2)投票用紙の不正操作(投票用紙の一部改ざんまたは破棄)(3)組織的な動員による選挙干渉(国家機関や地方自治体、あるいは他国による干渉)の疑いである▼不正選挙については、過去にも複数の政治家が電子投票システムのログ記録や、投票所での不規則な行動が記録された映像などを証拠として挙げ、提起してきた。だが、それらは多くのメディアで「陰謀論」的に扱われ無視されてきた▼尹大統領は16日、韓国憲法裁判所の第2回弾劾審判弁論で、野党が圧勝した昨年4月の総選挙での不正が最も国政を乱す行為と指摘。非常戒厳宣言は「民主主義の根幹を立て直すためのやむを得ない選択だった」と述べた。尹大統領は15日のSNS投稿で「”刺されて死亡した死体が多数発見された。殺人犯を特定できなかったからといって殺人事件がなく、正常な自然死だと言い張ることはできない”」などとつづり、不正選挙を陰謀論と一蹴することに反論した▼尹大統領の戒厳令宣布と不正選挙問題は、韓国の自由民主主義、さらには世界の自由民主主義国家にとって試金石となる重大な出来事だ。この問題を調査分析し、何が行われたかを明らかにしなければいけない。国際社会も、自由民主主義の根幹である”選挙制度”の在り方を考えなければいけないだろう。 |