尹錫悦大統領が昨年12月3日夜に宣布し、同4日未明に解除した非常戒厳令は韓国経済にも影響を及ぼしている。
同9日には崔相穆経済副首相兼企画財政部長官が、ソウルで水嶋光一駐韓日本大使と面会した。
企画財政部は非常戒厳を宣言した尹大統領を弾劾する動きに関連し、水嶋大使をはじめとした在韓外国公館長と相次ぎ面談を行った。
崔氏は水嶋氏に「最近の政治状況を受けて韓国駐在企業をはじめ、本国の憂慮は少なくないと考えられる」としたうえで、「われわれの経済システムは堅固であり、政府の緊急対応体制も安定的に動いている」と説明した。
また過去の事例をみると政治など非経済的要因による影響は限定的であり、中長期的なマイナスはほとんどないとして「外国企業の投資と経済活動が委縮しないよう平時と同様の政策対応を持続し、両国間の信頼維持と経済協力促進に向けた努力を惜しまない」と強調した。
これに対し、水嶋氏は韓国政府の努力を高く評価し、緊密なコミュニケーションを図ることを要請した。
同10日にソウル市内で開かれたマクロ経済・金融懸案懇談会で崔氏は、尹大統領の非常戒厳を巡る混乱が続いていることについて、「政府と韓国銀行の市場対応余力は十分だ」として、「過度な市場の変動性に対しては市場心理が反転するぐらい積極的に対応する」と述べた。
また「政治状況と関係なく、経済分野は経済副首相を中心に経済チームが総力を挙げて最大限安定的に管理していく」と強調した。
企画財政部によると、懇談会では金融・為替市場の変動性が拡大しているが「韓国経済の堅調なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)や対外健全性を考慮すると多少行き過ぎの面がある」とし、市場の動向を注視しながら市場安定措置を取る方針を確認した。
同18日には趙兌烈外交部長官と崔氏が共同で海外メディアを対象とした記者会見を開き、尹大統領が一時、非常戒厳を宣言したことによる政治的不確実性は和らいでいるとしながら、「予算案と主要税法が同10日の国会で可決されるなど、経済政策は政治状況に関係なく政府と与野党の協議の下で推進されている」と述べた。
崔氏は「国内の政治状況と米国新政権の発足などで内外の不確実性が高まったが、韓国の憲法システム、経済システム、非常対応システムは正常に作動しており、不確実性を管理、緩和している」と説明。「今回も健全で回復力のある経済システムにより速やかに安定すると確信している」と述べた。
| | 趙兌烈外交部長官と崔相穆経済副首相兼企画財政部長官が共同で開催した海外メディア向け記者会見 |