最近、サムスン電子の「危機説」がささやかれている。今年第3四半期の業績が発表されたが、市場予測を下回ったことから、サムスンは株主に向けて謝罪文を出した。極めて異例の対応であり、創業以来、初めてのことだ。株価も7月からの約3カ月で40%近く下げている▼これまでもたびたびあった「サムスン危機」。だが、今回は単なる業績面での不振ではなく、「コーポレートガバナンス」も問題となっている点が注目されている。とりわけ李在鎔会長が未登記役員となっていることが、経営責任の放棄と指摘されている▼サムスンを追い上げ、半導体業界の巨人にのし上がってきたのが台湾のTSMCだ。サムスンの株価が下落する一方、TSMCの株価は上昇し続けている。今年に入り約75%上昇。10月半ばには取引中に時価総額1兆ドルを超えた。非米国企業では、サウジアラビア国営エネルギー会社アラムコに続く快挙。メモリ半導体分野では、中国企業がサムスンの背後に迫る▼韓国経済人協会は14日、歴代の産業部長官5人を招き「半導体覇権奪還に向けた韓国の課題」を主題に特別対談会を開いた。歴代長官らは、中国や欧米に比べて国の補助金が少ないことを指摘。官民一体となった産業政策は韓国の得意分野だったはずだ▼「選択と集中」でライバルだった日本企業に勝ち、「官」の支援も厚かったサムスン。サムスンの衰退は国家経済の衰退に直結するといわれるが、韓国政府はこのまま「サムスンと一蓮托生」路線を歩むのだろうか。 |