パレスチナのガザ地区でイスラエル軍とイスラム組織ハマスとの戦闘が始まって1年が経過した。戦争は終息するどころか周辺諸国を巻き込み、拡大を続けている。中東は、全面戦争に向かっているといっていい▼イスラム教シーア派組織ヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師が暗殺され、イスラエルはレバノンへの地上侵攻を開始した。一方、ヒズボラを支援するイランはイスラエル各地の標的に200発近くの弾道ミサイルを撃ち込んだ。イスラエルのネタニヤフ首相は7日、戦争を継続する意思を明確にし、国民を鼓舞した▼産油国、そして原油輸送の動脈であるペルシャ湾の混乱は世界経済に大きな影響を与える。韓国にとっても、エネルギー供給、貿易、サプライチェーンへの影響が懸念される。また、戦争当事国や周辺諸国で暮らしている韓国人が危険にさらされるという直接的なリスクもある▼韓国外務省は1日、イスラエルとレバノンにいる韓国人に対し、直ちに退避するよう呼びかけた。尹錫悦大統領は2日、イスラエルなど中東地域から自国民を退避させるため、軍用機を派遣するよう指示した。イスラエルとレバノンには合わせて約800人の韓国人が在留している▼世界経済が悪化すれば、ドミノ式に他地域でも戦争が起こる可能性が高まる。韓国でも、外交・安保・経済分野を網羅する緊急対策が必要だろう。北韓の動きも注視しなければならない。世界の混乱に乗じて挑発行動を起こすのは北韓の常とう手段である。 |