金正恩は昨年末「北南関係は同族関係ではない」とし、韓国を「敵対的国家関係」と規定した。統一をも否定しており、統一関連の組織を解体する作業を進めている。平壌市のランドマーク的存在だった統一塔は破壊され、北韓国歌にあった統一という言葉も歌詞から削除。金日成と金正日の遺訓が書かれた「統一教示碑」まで塗り消された▼韓国内の主思派も同様の動きを見せている。複数の親北・従北団体が、団体名称から「統一」をはずした。文在寅前政権当時の青瓦台で秘書室長を務めた任鍾晳氏は、「9・19平壌宣言」6周年記念のあいさつで「統一議論は完全に封印しよう」などと訴えた。任氏がどれだけ金正恩の意向に沿ってきたのか、見事にあぶり出している▼金正恩は朝総連にも統一活動の禁止などの指示をした。同族を連想させるような場合は引用を禁止し、統一や三千里、錦〓江山などの表現が含まれる朝鮮学校校歌は歌詞を修正するように指示した▼民団員も「敵対関係」になる。先月19日に行われた民団地方団長・中央傘下団体長会議では「朝総連とどう向き合えばいいか、民団中央が方針を示してほしい」との声も上がった▼こういった背景のなか、朝鮮大学校の学生らによる訪朝が先月、実現している。朝鮮労働党の高位幹部との面談の場も設けられたとみられる。訪朝は今年、あと2回予定されている。韓国、そして在日社会に対する北韓関係者の姿勢は大きく変化しており、これまで以上に注意が必要となったといえよう。 |