与党・国民の力の韓東勲代表と最大野党・共に民主党の李在明代表が1日に会談し、国民の生活問題に関する両党の共通公約を推進するための協議体を運営していくことで合意した。尹錫悦大統領の弾劾をもくろんでいるといわれる野党代表に、与党代表が会ったのは意外なことだといえるだろう▼李在明代表は公職選挙法違反罪などで複数の裁判を抱えている。李代表の「司法リスク」は、早ければ10月中にも有罪判決を受ける可能性もあることから、時限爆弾に例えられている。野党系の人物への追及はそれだけにとどまらない。文在寅前大統領の周辺にも司法の手が伸びている▼文前大統領にかけられている疑惑は、義理の息子に対する就職あっせんだ。すでに当時の行政官や、文前大統領の娘への捜査が行われているが、文前大統領自身は、証人尋問に応じない方針だという▼野党系の大物2人が「司法リスク」に直面しているなかで、与党代表が野党側にアプローチしたのはなぜか。もともと韓代表と文前大統領は、極めて近い関係だったといわれる。尹政権発足後、文在寅・李在明の不正疑惑に対する捜査が進まなかったのは、当時の法務長官であった韓代表が一因であったともささやかれている▼一方で韓代表と尹大統領との隔たりも指摘されている。政策面での食い違いも目立ち始めた。与党代表と大統領の足並みの乱れは、今後の政権運営を左右する要因になりかねない。韓国の政局は、先の見通しがまったく立たない状況に陥っている。 |