接戦だった。尹錫悦候補は薄氷の勝利を手にした。5年ぶりとなる保守系大統領の誕生だ。だが、国会は依然として共に民主党が多数を占める。不正選挙の火種もくすぶっている。前途多難な船出になるかもしれない▼投票率は77%を超えた。5年前とほぼ同水準、コロナ禍を考慮すれば、国民の関心の高さがうかがえる。尹氏はくしくも「偉大な国民の勝利だ」と述べている。現政権の路線踏襲に「ノー」を突きつけた有権者その思いをしっかり汲んで政権運営にあたる覚悟が尹氏には求められよう▼尹氏には政治経験がない。その点は弱みとして捉えられがちだが、米国の前大統領や、渦中のウクライナ大統領も政治経験はない。経験のなさを強みに変えられるか▼在日韓国人にとっては、日本との関係改善に言及した尹氏に期待する声もあるだろう。日本のメディアも尹氏の当確を受け、その点を真っ先に報じている▼だが外交面では、対日関係だけに注力するわけにはいかない。周辺国との関係性において、韓国は全方位的に問題を抱えている。粘り強い対応に期待したい。5年は長いようで短い▼国内では、相変わらずコロナ禍が国民を苦しめている。これは小規模な個人事業主だけの問題ではない。大企業に目を向けると、現政権の過度な規制でダメージを負った企業がどれほどあるか▼文在寅政権下で急速に左傾化する韓国がギリギリのところで踏みとどまった。公約を守り、数多くの問題解決に取り組んでほしい。今後の尹氏の手腕に期待したい。 |