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2022年01月19日 00:00
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韓国スローフード探訪65 薬食同源は風土とともに
正月料理の定番 トックッで身も心も温か

 おとそ気分も抜け、いつもの日々が戻ったころ「今年もよろしく!」とソウルの友人からの電話。
彼女と知り合ったのは、『冬のソナタ』のロケ地を訪れた時だった。当時、旅行会社に勤務する彼女は食文化や韓方(韓国の漢方)にも精通し、おまけに日本語も堪能ということもあって、いつからか取材の際には通訳をお願いするようになった。
電話での開口一番が、「韓国は旧正月が中心だけど、1月1日にも簡単な正月料理を作ったからラインで送るね」と。あっという間に、ずらりと並んだ見事なまでの手作りマンドウの画像が送られてきた。
コロナ禍になってから、料理好きな彼女は事あるごとに自宅で作るさまざまな料理を写真で送ってくれるようになった。それを見ては、電話で「早く韓国に行きたい」と話すと「早く日本へ行きたいな」と返ってくる。そんな会話を交わすようになって2年が過ぎた。この間、彼女から送られてくる料理写真の数々に、韓国料理の奥深さを再認識する時間にもなったように思う。
豊かな具材たっぷりのマンドウ
 新年早々に届いたマンドウの画像を見て、「餅(トック)と一緒にスープ仕立てで食べるのね」と話すと、彼女は作り方の手順を説明し出した。まず、牛の骨から出汁をとってそれをスープにし、キムジャンで作った白菜キムチを入れたものと入れない2種のマンドウ、それとうるち米で作った棒状の餅を入れる。火が通ったら味を調え、器によそい仕上げにコミョン(飾り付け)で彩をつける。コミョンは錦卵や唐辛子、海苔などを使って五味五色を忘れないこと。これでお正月に食べるトックッの出来上がり。画像で送ってくれたマンドウはトックッに使うものだったようで「マンドウの数!何人分なの?」と聞くと「マンドウはいろいろな料理に使えるから、いつもこれぐらいは作っているから適当。夫と二人だけでも案外、すぐになくなるから」と笑った。そして、「覚えている? 二人でマンドウ屋さん回りをしたのを。20年くらい前の秋だったけど、あの時、美味しいと言いながら大きさにも驚いていたよね」と彼女が話し出した。確かに、マンドウ鍋を食べようと専門店に行った時、子供のにぎりこぶしのようなマンドウの大きさに驚き、作っている様子を見たいと店主に伝えてもらい、翌朝、店の人たち総出でマンドウ作りをするのを見せていただいたことがあった。その日に店で使うマンドウを作っているのだから量の多さも凄いものだったが、それ以上に「これだから美味しいのだ」と思ったのは、たっぷりと使っている具材の豊かさだった。さらに、化学調味料は一切使用せず、手間ひまを惜しまない作り方は、陣頭指揮を執るおばあちゃんの方針であった。作っている様子をじっと見ていると、「マンドウにもいろいろな種類があってね。これだけじゃないから」と、店主のおばあちゃんは正月に食べるトックッの話をしてくれた。日本のお雑煮と同じようなものだけど、うるち米で作った餅に、マンドウを入れるものもあること。マンドウの具材には、キムジャンで作った少し酸味が出た白菜キムチを入れることも。これらのことを、マンドウ作りの手を休めることなく話してくれた。聞きながら「韓国の正月料理をどうしても食べてみたい!」と思った。願いは叶い、その年の年末年始を韓国で過ごすことになり、友人宅でトックッをご馳走になった。牛からとった滋味深いスープに肉と香味野菜がたっぷりと入ったマンドウ、それにシンプルな餅の食感がパワフルであり優しくもあった。食べていくにつれ、ジワジワと体中が温かくなってきた。
電話でトックッの作り方を教えてくれている友人に、「正月にお邪魔した時にご馳走になったトックッの味を思い出しながら作ってみるから」と話し、早々に韓国食材店へと出かけた。香味野菜をたっぷりと入れたやや不格好な出来のマンドウと棒状の餅を入れ、牛のすね肉でとった出汁でトックッの真似事を楽しみながら新しい年が始まった。

新見寿美江 編集者。著書に『韓国陶磁器めぐり』『韓国食めぐり』(JTB刊)などがある。

2022-01-19 5面
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