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2020年03月04日 00:00
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キスン便り<第12回> 桜考(2)

 蘇塗という言葉について検討します。蘇塗というのは、現代日本語の発音です。韓国語では「ソド」と発音します。いずれも現代語の発音ですから当時は「そと」あるいは「ソド」とは発音していなかった可能性があります。
中国の歴史書である魏書は、当然のことですが、中国人が書いたものです。ですから蘇塗とか「ソド」という言葉は現地の人間の発音を中国人が聞いて、原音に近い音を当てはめて書き写したはずです。もし当時の中国語の発音が分かるなら、古代朝鮮の人たちがどういう発音をしていたかを推測できます。
有難いことに、中国語は古代から現代までの発音が分かります。中国語学者の藤堂明保氏らが著した『新漢和大辞典』(学習研究社、二○○八年)には古代から現代までの漢字の発音が載っています。そこには上古音(周、秦の時代)、中古音(隋、唐の時代)、中原音韻(元の時代)、北京語の発音が示されています。蘇という漢字の上古音は「sag」であり、塗の上古音は「dag」となっています。これをカタカナで示すと「サ、ダ」です。
魏書に書かれている内容と合わせて、「サ」は鳥の意味だと推測できます。「ダ」は現代語の「ド」つまり場所の意味だと推測できます。ちなみに塗の中古音は「ド」ですから「ダ」は場所という意味で間違いないと思います。以上から蘇塗(韓国語ではソド)は「鳥居ますところ」という意味の古代朝鮮語だったと言えます。また当時の人は鳥のことを「サ」と発音していたことが分かります。数方庭祭りの「ス」は方言、あるいはその後の変化形であろうと推測が出来ます。
さて、下関の「数方庭」祭りについて少し考えてみます。この祭りで長い竹に幟をつけて練り歩くのは、「ソッテ」と共通性があります。谷川氏が言っている通り「蘇塗」に起源を持つものでしょう。怖らくは秋田の竿灯祭りも起源は同じだろうと推測します。こうした内容の共通性から「数方庭」の「ス」は鳥の意味であると言えるでしょう。「数方庭」の「方」は、これは良く分かりません。「庭」は現代韓国語の「テ」であり、竹の棒でしょう。韓国のムーダン(巫女)は竹の細い棒で神を下ろす儀式をします。竹は生命力の象徴であり、邪気を払いますから、神の依り代にもなります。
以上より「数方庭」は「鳥が方する竹の棒」という意味になります。なお、ソッテを韓国の南海岸地方では「スサルデ」といっているそうです。このことは金烈圭氏の『韓国神話の研究』(学生社、一九七八年)にあります。「スサルデ」という言葉は韓国語の『国語大辞典』(教育図書、一九九〇年)を引いても載っていません。方言でしょう。しかし意味は分かります。「鳥の細く突き出た竹の棒」という意味になります。「スサルデ」の「ス」と「数方庭」祭りの「数」は「鳥」の意味で間違いがないと思います。私は素戔嗚尊の「す」も鳥の意味だろうと思っています。
鳥を「ス」と発音した事例をもう一つ見ておきましょう。
高句麗の始祖朱蒙の父親は、解慕漱といいました。「解」は太陽という意味です。「慕」はどういう意味か良く分かりません。慕うという意味そのもので使っているかも知れません。もしそうだとすると漢字と仮名が混じった使い方をしていたことになります。最後の「漱」は鳥だと思います。高句麗の古墳には太陽の中に三本足の烏が描かれたものがあります。このことからすると「慕」は「住む」とか「使わした」とかという意味になるでしょう。以上を総合すると「解慕漱」というのは「日が使わした鳥」あるいは「日の御子である鳥」といった意味になります。
李起昇 小説家、公認会計士。著書に、小説『チンダルレ』、『鬼神たちの祝祭』、古代史研究書『日本は韓国だったのか』(いずれもフィールドワイ刊)がある。

2020-03-04 5面
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