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最終更新日: 2020-11-26 00:00:00
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2019年10月24日 00:00
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ノースコリアンナイト~ある脱北者の物語~18 思想教育とアダルトビデオ取り締まり
「北送事業」60周年を迎えて

たんぽぽ

北朝鮮は、1980年代末の東ヨーロッパ社会主義国の崩壊を、資本主義思想と資本主義生活風習を若者が受け入れた結果であると説いた。資本主義国家が社会主義国家を崩壊させるために若者を誘惑・買収し、それを国家が放置した結果だと、毎日の講演会で説教した。週1回は平壌から中央党の幹部が全国の大学に派遣された。当時大学2年生だった私は、講演会を聴きながら崩壊したソ連の様子も資本主義生活風習もイメージが浮かばず、強制的な組織生活に疲れた日々を送っていた。毎日幾度もの集まり、出欠チェック、いきなりのカバン点検があった。金親子の教示と党の唯一思想に照らして、怪しいと思う先生とクラスメイトをメモして提出させられた。何にも書かないと怒られて、夜遅く家に帰った。
ゴルバチョフ氏に対する悪口が集会ごとに出た。この人の履歴などは知らなかったが、「金日成・金正日対ゴルバチョフ」で考えると、ひょっとしたら良い人かも、と思う時もあった。
北朝鮮当局は、真剣に東欧社会主義国家の変化に対応していたが、私を含め大学の雰囲気も街の雰囲気も全く国のそれとは違った。なぜなら、配給が途絶えて洗濯する洗剤すらもなく、みんな日々の生活が大変だったのだ。私の通う大学は約2500人の半数が校内にある大学寮生活を送っていた。88年末ごろから一日2食出るのがやっとで、週末には外で食事をとるように言われていた。自宅から通っている学生の生活も大変だし、日本のようにアルバイトもないのでお金が無く、とにかく人々の顔色に生気がなかった。気に障るとすぐケンカしたりピリピリしていて、空腹の余り泥棒を働き退学する学生も続出した。
崩壊したソ連では「人々が食べ物がなく薬物に依存して国が荒廃した」と毎日、当局が思想教育の重要性を熱心に叫んでいた。しかし人々は自分の生活が大変で、そんなことに耳を傾けるどころではなかった。国の指示に従い深く考えないで執行だけをしていた人たちが、社会主義崩壊を自分たちなりに分析するという風潮だった。そして、見せしめに銃声が必要になった。
保衛部の外貨稼ぎ「五輪会社」の社長で、保衛部を後ろ盾にし強い影響力を持っていた40代後半のハンサムな人が、全国の講演会資料に載った。当時の私は「五輪」がオリンピックだと知らなかった。金氏一族の歴史以外は何にも教えない国なのだ。脱北後の2008年に、中国で「五輪」の歴史などを知ったのだった。
話を元に戻すと、社長の罪名は「アダルトビデオを見て、それを実行し、流布した反社会主義・社会主義抹殺行為」であった。そこからアダルトビデオに対する調査が始まった。いきなり学校でも街でもカバン検査をされた。家にもいきなり調査が入って、1人ずつ面談を受けた。若者のカバンの中からラブレターが出てきたら、それも資本主義風潮で革命的生活に欠けていると問題視された。当時、そんな手紙をもらえない身分に「誇り」を持ったものだ。
この調査面談で異様だったのは、調査員が「アダルトビデオを見たことがあるか、誰とどこで見たか、アダルトビデオを持っている人か、それを見た人を知っているか」などの質問をすると、皆が「アダルトビデオとは何ですか」と逆に質問をすることだった。それでアダルトビデオに対する好奇心が高まってしまった。内容を知った時には、みんなの目が何処にも掲げてある金正日の肖像画を見ていた。
調査で咎められる人が一番多く出たのは、幼稚園児と低学年の小学生がいる裕福な家庭の中からだった。幼い子どもらは調査員の質問に素直に答えてしまう。結果、自分の親が捕まったり、中には家族みんなが追放、政治犯管理所に入ったりするケースも出た。当時それらを見ていて、北朝鮮の恐ろしさ、反人倫的な行為に、寒気しか感じなかった。
(つづく)
【訂正】10月2日付ノースコリアンナイト17の2段3行目の『祖父で芸能人』を『祖父と芸能人』に訂正いたします。

2019-10-24 4面
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