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2019年09月26日 00:00
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韓国スローフード探訪20 薬食同源は風土とともに
地元産アワビを使った済州島の極上お粥

城山日出峰(写真提供:韓国観光公社)
 韓国の最南端に位置するこの島は、かつて『耽羅の国』と呼ばれた独立国だった。年間を通して温暖な気候ということから1990年代までは、新婚旅行先としての人気も高かった。最初に済州島を訪れたのは98年の秋。旅行雑誌の取材目的で観光地を回っていたのだが行く先々で、婚礼衣装姿の記念撮影風景を見かけた。この時、初めて伝統的な婚礼衣装姿を目にした。1週間ほどの滞在中に、この島ならではの郷土料理を食べることができた。中でも特に印象深かったのはアワビ粥だった。海の幸に恵まれている島だから当たり前とも思ったが、ホテルの朝食はビュッフェスタイルの他にアワビ粥定食があった。
お粥は風邪をひいた時ぐらいしか食べる習慣がなく「病気でもないのに朝からお粥?」と思いながら、どんなものが出てくるのだろうと興味がわいた。ダイニングに行ってみると、韓国人客がアワビ粥定食を食べていた。テーブルには大振りの器に薄茶色のお粥が入っている。さらにキムチやナムルが数種類ついていて、思っていたよりパワフル感があった。席に着く早々、アワビ粥定食が運ばれてきた。ホテルだから高級食材を使っているのだろうか? さまざまな疑問もあったが、まずはお粥を一口、食べてみると、磯の香、まろやかな味、トロリとした食感が眠っていた身体のすみずみまで行きわたっていくようだ。しかも、たっぷりの量、箸休めのキムチの酸味と辛味、これは想像以上のものだった。
朝食後、地元の方からアワビをとる海女さんたちがいる海岸や、水産市場のことなどを教えてもらい、取材スケジュールもどんどん盛りだくさんになった。街中の食堂で出されているアワビ粥も食べてみたいと、ランチタイムをやや過ぎたころを見計らい食堂に入ってみた。注文するやいなやアワビ粥が運ばれてきた。お粥の色が気のせいか、やや緑がかって見えた。店の方に聞いてみると、「米を水につけて1時間ほどおいてからミキサーにかけて米の粒を半分ほどにして、米と水をわけておきます。アワビは薄切りにしてゴマ油で軽く炒め、さらに米だけを加えて炒めるんです。米が透き通るぐらいまでね。そうしてから浸しておいた水で吹きこぼれないように炊く。うちではアワビの肝も入れているので
美味しそうなアワビ粥(写真提供:済州観光公社)
緑がかっているんですよ」と。さっそく食べてみた。まさに、まるごとアワビ。
アワビには多くのビタミン類をはじめタウリン、コラーゲン、セレンなどが含まれ、栄養価は高く滋養強壮にはもってこいの食材。韓国では、儒教の教えを国の指針とした朝鮮王朝時代に粥文化は発展したとされ、年長者を敬い消化しやすい食べ物として今に続いている。また、その時代、宴席では酒を飲む前に松の実粥を先にいただき、胃を壊さない工夫もあったと伝わっている。
済州島でアワビ粥の朝食を食べたことが、韓国のお粥文化を知るきっかけになった。海女さんたちが働く海岸では、取れたてのアワビを焼いてもらい、粒は小さいが成長が遅いため身がひきしまり味わい深いということや、冬が旬ということも教えてもらった。それ以来、済州島を訪れるたびに海女さんたちがやっている海辺の食堂に行くようになった。お互いに「20年前は若かった。アワビを食べてキレイにね!」と話す時間も楽しい。今年も、その季節がそろそろやってきた。
新見寿美江 編集者。著書に『韓国陶磁器めぐり』『韓国食めぐり』(JTB刊)などがある。

2019-09-26 5面
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