中でも、米国の支援が決定的なものだったという。朴聖祚は、それは韓国のケースでも同じだという。彼は、特に米国の支援がなければ、韓半島の統一は「絶対に」不可能であると断言する。政治学を勉強している人物がここまで断定的にいわざるをえないのが現実なのだ。
韓米同盟は、大韓民国の国家安保の要諦であった。ところが、大勢の人々は韓米同盟が韓国の国家安保にどれほど大きく寄与しているかを、よく知らない。
韓米同盟は大韓民国の国家発展に寄与
韓米同盟は去る60年間、いつもわれわれと一緒にあったものであるため、まるで水や空気のようになってしまった。水と空気はなくてはならない本当に重要なものだが、なくなるまではそれがいかに重要なのかよくわからない。
韓米同盟は韓国戦争が休戦になってから今日までわれわれとともに存在し、そのおかげでわれわれは第二の6・25戦争を抑止できた。また、経済発展を遂げることもできた。米国が韓国の国家安保を支援してくれたおかげで、われわれは努力の大部分を経済発展に注ぎ込むことができたのだ。
実際に韓米同盟が締結された1953年、韓国は取るに足らない弱小国だった。米国がそれほど重要に思わなかった国だったが、李承晩の卓越した外交力が、米国をもって韓国と同盟を締結するようにした。李承晩は、米国が望む休戦を到底受け入れられないと突っ張り、最後に米国が韓国と軍事同盟を締結してくれるなら休戦に同意するというぎりぎりの外交政策を展開した。結局、世界最強国の米国が韓国と同盟を結び、米国と同盟を結んだ韓国は、北韓はもちろん、周辺の強大国である中国とソ連の脅威からも国家の安全を守ることができた。苦しい過程の末、米国と同盟を締結する日、李承晩は感激のあまり韓国国民に「みなさんは、韓米同盟のおかげで末永く利得を得るはずです」と宣言した。
実際、韓国は今まで韓米同盟から利益を得てきた。韓米同盟がなかったと仮定すれば、韓国が今の程度の国防費だけで国を守れたか、考えてみればわかるはずだ。わが国は米国の援助がなかったら、国防費はおろか国家予算も編成できないほど貧しい国だった。
今、世界10位圏内の経済大国に成長した後も、韓国は相対的に国防費を少ししか使わない国だ。韓国は去る10年間、GDPの約2・7%を国防費として支出してきたが、これは世界の平均的水準にすぎない。イスラエルと同じくらい安保が不安定なわが国は、イスラエルの半分程度(GDP比で)の国防費しか支出していない。にもかかわらず、国家安保を保っているのは、在韓米軍がわれわれの国防費とほぼ同じ水準の額を韓国の国防のため使っているからだ。それだけでも韓国は毎年数百億ドルの国防費を節約しているわけで、李承晩の言葉のとおり、今もわれわれは韓米同盟の恵沢を充分に受けているのだ。
在韓米軍は対北抑止力の根幹
北韓が米軍撤収をそこまで要求するのは、米軍さえなければ、彼らがこの60年間寝ても覚めても準備してきた武力による赤化統一をなせると考えているからだ。もちろん、わが大韓民国は北韓の侵略を防御する力があり、北韓が戦争を起こしても、韓国は北韓軍を打ち破って国を守れる。だが、北韓の侵略を撃退するよりもはるかに大切なのは「北韓が頭から戦争を起こす考えを持てないようにすること」だ。北韓が挑発した戦争にわれわれが勝利しても、その被害はあまりにも甚大なはずなので、そのような戦争に勝利しても失うものが大きすぎる。
われわれは、北韓が挑発できないように事前に抑止すべきであり、そういう過程を通じて北韓を変化、あるいは終息させ、平和統一を成し遂げなければならない。そのため、韓米同盟は少なくとも北韓の脅威が消滅するまでは現状態のまま、あるいはより強化された水準で維持しなければならない。韓米同盟は今まで大韓民国の安全保障と経済発展に寄与してきたし、現在も韓国の国家安保を守る核心装置だ。
(つづく) |