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2017年10月25日 00:00
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朝総連衰亡史(58) 全体主義独裁の手段、牡丹峰楽団と金剛山歌劇団 

 北韓は、それ自体が思想監獄だ。首領の妹である金与正が掌握している党の宣伝扇動部は、人民の精神を支配する部署だ。催眠と洗脳を通じて人間の魂を支配するのだ。洗脳を通じて信じ従わせるのは金日成思想だ。朝総連が主張し、賛美するのは結局、首領たちと首領たちの思想、金日成思想だ。
平壌で、首領の誕生日から核実験や大陸間弾道弾実験まで、慶事に欠かせないのが祝賀公演だ。首領と党と国家のイベントとしての祝賀公演は、大体テレビで放送される。この国家行事に動員される楽団が、国家功勲合唱団、朝鮮人民軍協奏団、旺載山芸術団、青峰楽団、万寿台芸術団、三池淵楽団、朝鮮人民内務軍の女性吹奏楽団、国立民族芸術団、牡丹峰楽団などだ。
これらの楽団は特別に管理される。彼らが使う楽器には、ヤマハピアノなど日本製が多い。
数ある楽団の中で、金正恩が最も寵愛するのが2012年に作られた牡丹峰楽団だ。金正恩時代の幕開けを象徴する存在だった。金正日が一人で楽しむために作った「喜ばせ組」としての歌舞団を、人民に公開したのだ。つまり、牡丹峰楽団は「人民たちのための喜ばせ組」のような存在だ。舞台に立つ楽団員たちは、全員が将校の身分で、団長の玄松月は党中央委員会の候補委員だ。
牡丹峰楽団のファッションは、首領の夫人のファッションとともに、北韓女性が真似できるファッションの基準となったようだ。
ところで、この牡丹峰楽団の公演は、朝鮮の伝統的な歌舞とは異なる。牡丹峰楽団が北韓住民に与える影響は、党が望むとおり、非常に大きい。創立記念公演のときに登場したディズニー映画のキャラクターなどは消えた。服装や公演内容も完全に変わった。公開公演は徹底して金正恩称賛一色だ。朝総連はこのような実像を知っているのだろうか。
北ではすべての芸術家が労働党の唯一思想と金日成の主体的文芸思想のため尽くさねばならず、芸術家たちの思想を強化するため無給から8~1級、功勲芸術家、人民芸術家まで11等級に区分して賃金に差をつけている。階級のない社会で芸術家まで等級や報酬に差があることは、「人民共和国」が厳格な階級社会であることを物語る。
この中で、人民芸術家の称号は最高の栄誉で、国旗勲章が与えられる。制定されてから金日成の名義で授与されてきたが、94年に金日成が死んだ後は金正日、金正日が死んだ後は、金正恩が授与している。月給は、政務院の部長(閣僚級)と副部長(次官級)の間に該当するほどの高給だ。2000年頃まで、人民芸術家の称号を受けた芸術家は100人ほどいる。人民俳優、功勲俳優も同様だ。
朝総連が自慢するのが、1955年に作られた金剛山歌劇団の活動だ。この金剛山歌劇団が4日、函館で公演を行った。朝鮮新報は、公演が盛況に終わったことを大々的に報道した。
朝鮮新報18日付は1面で「Jアラート」が歓呼に変わった秋夕という金剛山歌劇団第47回函館公演を報道した。「ミサイル騒動」にもびくともせず、2000人あまりが観覧したと自慢。また、国際社会の制裁の中で日本の防衛努力を嘲笑した。このように日本を敵視しながら、日本当局に高校無償化支援を要求するのはおかしいと思わないのか。
金剛山歌劇団のウェブページには、朝鮮民主主義人民共和国の唯一の海外総合芸術団体と強調されている。だが、金剛山歌劇団が平壌の楽団と決定的に違う点がある。平壌の歌舞団や楽団は、党の支援を受けるが、金剛山歌劇団は朝総連の資金調達の任務が付与されている。
歌劇団は、公演のための賛助・広告費は朝総連中央に吸い上げられる。団員は、彼らの才能を搾取されているのだ。
現在、金剛山歌劇団には功勲芸術家、人民芸術家、功勲俳優、人民俳優称号を持つ団員が15人いると掲載されている。北韓が、朝総連に過分に多くの称号を与えたことが分かる。ところが、朝総連はなぜ、牡丹峰楽団のような現代的な歌舞団は作らないのか。
北の宣伝映画や報道などで接する、無理矢理に作られた子どもたちの笑顔を見るのは苦痛だ。幼稚園で、笑いたくもない園児の顔の筋肉をゆがめるのは、人権蹂躙だ。その表情はまるで、人工知能が作り出したロボットの笑顔よりも不自然だ。北の子どもたちは、自分の親より首領を愛するように強いられる。明らかな洗脳だ。朝総連の思想学習と教育は、これと何が違うのか。(つづく)

2017-10-25 4面
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