北韓は14日、北西部の亀城から、「ムスダン」の改良型とみられる弾道ミサイル「火星12号」1発を発射した。北韓の発表によると、高度は2111.5キロに達した。移動式発射台からの発射、固体燃料の開発と、ミサイル技術を向上させてきた北韓は、課題の一つだった大気圏再突入に成功したことになる。軌道を変えればグアムを射程に捉えることも明らかになった。米本土を狙えるミサイル完成は間近だといえる。
| 北韓が公開した発射の様子 | 北韓がミサイル発射実験を行ったのは、北京で習近平国家主席肝いりの「一帯一路サミット」が開かれる数時間前の早朝だった。この時期の発射に、各国のメディアは「習主席の顔に泥を塗った」などと報じた。
裏を返せば北韓は、中国の顔色をうかがうよりも、ミサイル開発を最大限の速度で進める姿勢を示したと言っていい。経済制裁に効果はないと強調する意図もあっただろう。在中北韓大使は、ミサイル発射を、従来の平和目的の衛星発射などと偽ることなく、「ICBM」と明言した。また「米国とその追従勢力の威嚇と恫喝に対処する正当な活動だ」とも強弁した。
朝鮮中央通信によると、ミサイルは高角度で発射され、高度2111・5キロに達した。ICBMを発射するには、大気圏再突入と再突入の際の制御技術が必要になるが、韓国国防部の報道官は15日、「(再突入技術が適用された)可能性は低いとみている」と述べた。ただ、実際にミサイルは大気圏に再突入しており、目的の海域に着弾した。
今回のミサイルは、通常の角度で発射されれば、最大で5000キロ飛行することが可能といわれる。北韓から、米軍基地のあるグアムを射程に捉える距離だ。今回は1段ロケットだったが、多段化できれば飛距離は飛躍的に増す。複数の専門家は、北韓が米国本土に到達するICBMを開発するまで3年以内とみている。
トランプ大統領は今のところコメントを発していないが、ホワイトハウスのスパイサー報道官は、「全ての関係国、特に中国とロシアには、制裁の履行でできる全てをしてほしい」と求めた。
中国外務省は14日、国連安保理決議違反だと批判したが、「緊張をエスカレートさせてはならない」と冷静さも求めた。ロシアのプーチン大統領も15日、北韓の核保有に反対の立場を示す一方、米国には北に対して「威嚇をやめよ」と述べた。国連安保理は、各国に対し、安保理の制裁決議履行を求めた。 |