北側は核実験の準備整う
3月1日から2カ月にわたって行われている定例の韓米軍事演習「フォール・イーグル」に合わせ、北韓がまたノドンミサイル発射した。6日に4発のミサイルを同時発射し、東海(日本海)に着弾させたのに続き、22日には元山の飛行場近くで移動式発射台からミサイルを1発発射した。
13日から24日までフォール・イーグルと並行して行われた「キー・リゾルブ」期間中の追加挑発だった。
米国防総省は、22日に発射されたのは米国に届く大陸間弾道ミサイルではないと分析。また、実験は失敗に終わったとの見方も示した。
キー・リゾルブは、韓半島有事の際に、北韓の核・ミサイル施設を先制攻撃する「作戦計画5015」に基づいて行われる。米軍は21日、グアムから最新鋭の戦略爆撃機B1Bを2機飛来させ、1機を烏山基地に着陸させた。途中、航空自衛隊の戦闘機と韓国空軍の戦闘機がそれぞれの領空で同機とともに飛行した。有事を想定した編隊飛行だ。
B1Bは超音速で飛行してグアムから2時間で北韓に到達でき、ステルス性も備えている。核兵器を搭載することはできないが、米軍は搭載可能な大型爆撃機B2やB52を、追加で訓練に派遣する。
こうした中、米国メディアは北韓が月内にも核実験を行う準備を進めていると報じた。米当局者の話として、核実験場がある豊渓里で、新たな坑道の掘削工事が完了したとみられるという。
トランプ政権は、北韓の核開発停止について「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」と述べてきた。その中には軍事行動も含まれるが、米メディアは北韓の反撃を防ぐため、事前通告なしで一気に攻撃目標を壊滅させる手段が有効だと指摘している。B1Bは普段は核兵器を搭載しないが、スピードと兵器の積載量に長じている。
サイバー攻撃もオプションだ。米国は2009年から10年にかけて、イランの核燃料施設にサイバー攻撃を行い、ウラン濃縮用の遠心分離機を破壊したとされている。米当局は否定も肯定もしていないが、北韓で14年末に起きたインターネットの遮断は、米国の報復だといわれている。
米国の無言の圧力にさらされた北韓は、4月に重要な行事を控えている。11日には、国会にあたる最高人民会議が開かれる。金正恩が労働党第1書記(現在は党委員長)になってちょうど5年の節目だ。15日には金日成生誕105年を控えている。同時期には韓米海軍と海兵隊、空軍が、北韓の重要施設への攻撃を想定した訓練を行っている。この時期の挑発は、武力衝突の可能性を最大化するものになるはずだ。 |