THAAD(高高度防衛)システム配備を決めた韓国への当てつけだろう。中朝外相が、異例の蜜月ぶりをアピールした。国連制裁から4カ月。ラオスで開かれた会談で、「中朝関係の発展に向けた問題を話し合った」という。大国を自任する中国だが、それに見合う責任をはたしているとはいいがたい。
韓国には居丈高
2年ぶりの外相会談は異例のスタートだった。北韓の李洙墉外相と中国の王毅外相は、同じ飛行機で東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)が行われるラオスに向かった。両者はホテルも同じだという。関係悪化で外相会談が見送られた昨年とは対照的だ。
対照的といえば、王外相の韓国に対する態度だ。王外相は李外相との会談(25日)を前に、韓国の尹炳世外相と話し合いを持った。王外相は開口一番「最近の韓国側の行為は、両国の相互信頼の基礎を損なうものだ。遺憾に思う」と迫った。いうまでもなく、在韓米軍のTHAAD配備への不快感だ。
24日の韓中外相会談で王外相は、メディアを前に公然と不満を口にした。通常はカメラの前で握手をするなど形だけでも友好的な態度を示すのだが、外交上の非礼というべき言動だった。これに対して尹外相は「今後もわれわれの立場をはっきり、堂々と伝えていく」との立場を鮮明にした。
一方、中朝外相会談は、友好的な雰囲気の中で行われたという。北韓サイドの随行員は韓国メディアも含めた報道陣に対し、「中朝関係の発展に向けた問題を話し合った」などと説明した。韓国メディアからは核やミサイル実験に関する質問が飛んだが黙殺された。
国連制裁を一定程度履行しているとみられる中国は、国連に提出した報告書(21日公開)で、「決議案は全面的かつ完全に履行されるべきだ」と主張している。韓中首脳会談でも、王外相から同様の発言があったという。しかしそれは北韓の核放棄を促すものではなく、「韓半島の緊張を高めないこと」が目的となっている。実際に報告書は、THAAD配備に明確な反対の文言を盛り込んでいる。
東南アジアの国々と中国は、南シナ海における中国の人工島建設をめぐって対立している。そうした国々が集まる場で肩身が狭かったのか、中国がとったのは、国際社会の制裁対象になっている北韓との友好アピールだった。
中国は米国と並ぶ大国を自任しているが、アジア地域には混乱と不安定さしかもたらしていない。韓半島の安定を望むのならば、最大の懸念となっている北韓の核を放棄させるような行動が求められる。 |