山口県長門市の仙崎港に、脱北者とみられる男性が泳いでたどり着いたという。男性は25歳の民間人と称し、裸足にずぶ濡れの状態で16日に保護された。身柄は長崎県大村市の入管に移されている。
複数の報道によると、男性は13日に北韓の清津から船に乗って日本近海までやってきて、15日の午後9時ごろに、ポリタンクにつかまって海に飛び込んだ。その後、16日午前6時ごろに仙崎港に上陸し、付近の路上で地元住民に発見された。逃げたりするそぶりはなく、淡々と事情を説明したという。
地元漁協関係者の話では、この時期なら海面の水温は比較的高く、一晩であれば命を落とすほどではないと説明する。16日は山口県全体が休漁日となっており、漁に出ている船はなかったという。
すでに日本で生活している脱北者のA氏によると、男性はある程度の収入と教育水準があると推定される。大多数の北韓漁船は、遠洋での操業を想定しておらず、日本近海に来るまでに燃料が尽きてしまう。そのため脱北者が追加の燃料を用意した可能性があるとA氏は話す。片言ながら英語を話せたというのも、特殊な学校に通っていたことを示唆している。
男性は日本にとどまりたいとの旨を伝えているとされるが、この点についてA氏は「仮に身分が明らかになった場合、韓国よりも日本に渡った方が、残してきた家族にかかる災難が少なくて済む」と語る。脱北して韓国に定着していることがわかれば、例えば死刑になることもある。ところが日本なら懲役で済む。「こうしたことを計算に入れたのでは」とA氏はいう。
日本政府は慎重に取り調べを行い、北朝鮮人権法に基づいて男性の処遇や移送先について対応を決める方針だ。 |