対南挑発に移る可能性も
対北制裁を続ける韓国に、北韓が対話攻勢をかけている。北韓は6月27日、韓国政府当局者や政党などに宛てた公開書簡で、今年の光復節(日本植民地からの解放記念日、8月15日)前後に南北や海外居住者による民族合同の会合を開催するよう韓国側に提案した。北韓は同様の提案を繰り返している。目的は国際制裁による孤立からの脱却とみられる。
これに対し、韓国統一部は、「誠意があるなら、非核化への意思を行動で示すべきだ」とする論評を出して、提案を事実上拒否した。同部関係者は「韓半島の平和と統一の最大の障害である非核化に関し何ら態度の変化は見られず、偽りの平和攻勢にすぎない」と指摘する。朴槿惠大統領も先月の国会での演説で、「非核化なしの対話の提起は局面を転換するためのごまかし」と述べ、北韓の姿勢を強く批判した。
一方で北韓は、4月から6月末にかけ、中距離弾道ミサイル「ムスダン」の発射実験を立て続けに行った。北韓が周辺国の注意をひくため硬軟織り交ぜた戦術を取ってきたのは周知のとおりだ。韓国当局者は「ミサイル発射は対話の合図」と指摘する。
北韓は韓国が対話に応じなければ、米国と直接対話する「通米封南」に転換するだろう。そうなれば、米国をテーブルにつかせるため、韓国への挑発を強める可能性は高まる。北韓海軍は黄海上の北方限界線(NLL)付近に配備した哨戒艇などに米国製の「ガトリング機関銃」を搭載しはじめているとされ、韓国軍は警戒を強めている。 |