平壌側は23日、中距離弾道ミサイル「ムスダン」の発射実験に成功したと発表した。国際社会の批判を受けながらも実験を繰り返していたミサイルだ。実験の成功により、北韓はさらに弾道ミサイル攻撃の能力を高めた。
今回の実験では、弾頭の大気圏再突入が成功したことが重要な成果として挙げられる。北韓は今年3月に再突入の実験を地上で行ったとしているが、当時は技術の確保に成功したのかどうか、懐疑的な見方があった。
試射をせずに実戦配備したムスダンは、今年4月に初めて発射されたが、実験は失敗した。ミサイルは発射してすぐに爆発したため、技術者の死亡や移動式発射台の破損もあったという。しかし間を置かずに6月まで計5回の実験が行われた。いずれも失敗したと見られてきた。
6回目となった6月22日の実験では、2発のミサイルが発射された。2発目のミサイルは高度1400キロ以上に達し、400キロ先に着弾(着水)したという。周辺国のレーダーもその様子を捉えており、北韓は大気圏再突入の技術を手に入れたといえる。
実験で成功したのはロフテッド軌道に乗せる発射だ。通常の軌道よりも高く打ち出すため水平方向への距離は稼げないものの、発射角度を変えればグアムまで射程に収める計算になる。近隣諸国にとっては、ロフテッド軌道で打ち上げられた場合は迎撃が困難になる。日本は米国とともにロフテッド軌道対応の迎撃システムの開発に着手しているといわれるが、韓国でもTHAAD(高高度ミサイル防衛)システムの導入が前倒しになる可能性は高まった。
北韓では29日に最高人民会議が予定されている。それに合わせる形でミサイルの発射成功の一報がもたらされた。
朴槿惠大統領は北韓のミサイル発射実験がしばらく続くとみて、軍により強力な態勢を整えるよう指示した。また、韓国独自の制裁強化も示唆している。 |