3党体制の韓国国会が、安保と経済の国家的危機状況を無視し、国会の既得権を強固にする改憲を主張した。「安保は保守」と言って選挙で躍進し、キャスティングボートとしての役割が期待された安哲秀の「国民の党」はこの渦中、旧態依然の政治資金絡みで実態を早くも露呈している。「国民の党」は「5・18嘲弄禁止法」発議に続き、反憲法的な「6・15共同宣言と10・4宣言日の国家記念日指定を求める決議案」を発議。金正恩が抱く核保有国への野望を応援する格好だ。 既得権に執着 丁世均国会議長は6月13日、国会の開院式で改憲の必要性を強調した。丁議長は、第20代国会が「新しい時代精神」を盛り込む憲法を作るべきだと述べた。少なからぬ与野党の政治家が丁議長の発言に応じ、朴槿惠大統領の任期中の改憲に言及した。 だが、政界の改憲論に対する世論の反応は冷たい。というのは、今の憲法での国会の権限は、「国会独裁」といえるほど絶対であり、国政の混乱と経済低迷の最大の責任は国会自身にあると国民の多くは思っているからだ。 まだ終わって3カ月も経っていない総選挙の際、多くの有権者が「国会無用論」、「国会解散論」を唱えた。「国害議員」とまで言う人もいた。改憲論者たちはこの「民心」の批判をかわすため、改憲を持ち出しているといえる。 4月の総選挙ではセヌリ党の自滅的敗北の結果、本当は当選の可能性がなかった政治家が多く当選した。こうした政治家たちは、中国の文革時に国を混乱に陥れた「紅衛兵」に例えられる。 その彼らが持つ「時代精神」の正体が、法案発議の形で現れた。 裁判が終わった「セウォル号事件」の真相究明を蒸し返す「共に民主党」はさておき、「安保は保守」と言ってキャスティングボートの役割を期待された第3党の「国民の党」も、国民を失望させている。 「国民の党」は「5・18嘲弄禁止法」といわれる全体主義的法律の発議に続き、「6・15南北共同宣言記念日および10・4南北頂上宣言記念日の国家記念日指定を要求する決議案」を発議した。法案を発議した78人の議員らは、野党優勢となった現在の3党体制を悪用し、大韓民国の憲法の上に君臨しようとした金大中・盧武鉉両大統領の暴挙を国家として称えるべきだと主張している。 2回の南北首脳会談は、結果的に北韓の核開発を許すことになった。統一の方法や理念についても憲法に反するため憲法と両立できない。本来であれば見直されるべき宣言・声明を、国家の記念日にせよと主張しているのだ。 金正恩の核ミサイルの実戦配備が事実上始まった今、韓国の「時代精神」は国民を核攻撃から守り、韓国に対する核脅威の根源を除去することであるはずだ。つまり、北韓を金正恩の支配から解放すべきであるはずなのに、発議者らは金正恩に”援護射撃”を行っているも同然だ。 韓米同盟だけでなく、国際社会が「金氏王朝」の核武装の阻止で協力している状況で、彼らとの「連邦制」を推進した「6・15」と「10・4」宣言を国家記念日にせよという政治家は、大韓民国の国会議員ではなく、平壌の最高人民会議議員になるべきだとの批判が噴出している。 |