趙甲済
今日発表された<朴槿恵前セヌリ党非常対策本委員長の大統領選挙出馬宣言文>を読んで見ると空虚だ。あまりにもたくさん聞いて来た話ばかりであるためだ。国家と国民が切に憂慮している部分は言及対象から抜けた。この時代の核心主題語である従北、法治、北韓人権、北核廃棄(‘北核問題の進展'というおかしな表現はあるが)という単語自体がない。危険千万な発想はたくさん入っている。
‘国政運営の基調を国家から国民に変えねばなりません'という話は言葉として成立しない。国家と国民を分離して対峙させることは典型的な左翼的国家観だ。国家は国民、領土、主権を3大要素とする。国家=国民である。大韓民国は王朝でなく国民国家だ。国民国家で国家と国民の関係を敵対的に設定するのは階級闘争的発想であり国家の存立根拠を危うくすることであり国民の福利を脅かす。
<過去には国家の発展が国民の幸福へとつながりました。しかし、今は国家の成長と国民の生活の質の向上との輪が切れました>と<国家は発展し経済は成長したというのに、私の暮らしは良くならなかったし、私の幸福は大きくなりませんでした>は無知な言葉も同然だ。大韓民国は国民国家だ。国家が発展すれば自動的に国民の暮らしが良くなる。これは雨が降れば川の水が増えるような真理だ。被害者の立場で国家を見る人が大統領になりたいとは….
<私は南北間の不信と対決、不確実性の悪循環を切って信頼と平和の新しい韓半島に向けての第一歩を始めます>という件も話にならない。南北間を両非論的に取扱った言葉だ。不信と対決の責任は北にあって南にはない。天安艦を爆沈させた北にあり、やられた南にはない。朴槿恵氏は中立国の立場で韓半島問題を見ているようだ。
朴議員はまた、経済犯罪前歴者である金鍾仁が持ち出した‘経済民主化'を大統領選挙公約として引用した。その内容が馬鹿馬鹿しい。
<正当な企業活動は最大限保障し不必要な規制は撤廃して経済に活力を吹き込みますが、影響力の大きい企業ほど社会的責任を全うするようにすることには果敢で断固として介入する政府を作ります>
こういう原論的話をしなかった政府や政治家がいたのか? それが‘経済民主化'の内容なら公約する必要もなく、‘経済民主化'という言葉を政治スローガン化するつもりなら止めなければならない。‘民主化'という言葉を政治武器化すると国家を刺す凶器になり得る。
大韓民国を本当に心配する人々を虚しくさせた朴槿恵氏の演説だった。こういうやり方が果たして票を得るのに得になるだろうか? 分別力が相対的に高い50才以上の有権者が42%もあるという点を全く考慮しなかった演説だった。文在寅と金斗官氏の出馬宣言文と本質的に同じだ。朴議員の思考体系には中道日和見主義的か左翼的世界観が深く入っていることがわかる。
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最終更新日: 2024-11-19 12:39:03
