金成昱
従北勢力はこれ以上少数の急進学生運動グループ、あるいは一部の極端的な非主流が主導する反体制勢力でない。
彼らは制度圏の政党に強固に根を下ろし、学園(大学キャンパスはもちろん、学界と中・高校など)、市民運動、メディア、出版、文化など韓国社会全般に広範囲に布陣した。韓国社会各分野で世論や意思決定を主導し、如何なる勢力よりも強力な動員力を備えた権力集団に成長したのだ。
大韓民国は、建国60年余で産業化と民主化を成就した。地球上で最も貧しかった国が世界10位圏の経済大国になった。こういう国の中で、人民が飢えと暴圧で苦しむ「朝鮮民主主義人民共和国」を追従する勢力が強力な権力集団に成長したのは歴史のアイロニーだ。
この奇なる現状の根源は分断だ。大韓民国が食べる問題(経済成長)を解決するために民主化を留保した時、北韓は「南朝鮮革命」を通じての韓半島(赤化)統一を自らの国家戦略と設定し、ここに莫大な国家的資源やエネルギーを注ぎ込んだ。これは情報戦が主になる国家間の諜報行為とは根本的に違って、「南朝鮮革命」のために自分たちの政治的力量を韓国社会に投射する過程だった。従北勢力の形成と拡散が、南労党の残党による「地下党」構築企図と1980年代の自生的な主思派(主体思想派)との結合で出来たのはこのためだ。
6.25戦争後、「南労党」は瓦解したがその残存勢力は「人民革命党」-「統一革命党」-「南民戦」(南朝鮮民族解放戦線準備委員会)など、「朝鮮労働党」の指導を認める「地下党」建設事業を着実に展開する。これらは公安当局の摘発によってそのつど組織が瓦解し、核心指導部の死刑や長期受刑で活動は挫折するが、理念的、歴史的な脈は続いてきた。
彼らの中で生存者の相当数は民主統合党、統合進歩党など野党はもちろん、全民連、全国連合、汎民連、韓国進歩連帯、6.15共同宣言実践連帯など、いわゆる「市民社会団体」の中で指導的位置に就き、従北・反米・反政府活動を展開してきた。そして、2012年現在、これら 南労党・人革党・統革党・南民戦出身やその後裔らは「386主思派」グループ(民主革命党、救学連、反米青年会、全大協出身など)と共に巨大な従北勢力を形成して合法的に権力争奪(いわゆる「民主連立政府」の樹立)を試みている。
何よりも注目すべきことは、彼らが韓国政治の核心部に完全に根を下ろし、今回の総選挙(4月11日)を通じて国会に大挙進出したという点だ。
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