趙甲済
民主統合党の韓明淑代表と統合進歩党の李正姫代表は2012年3月10日、4月総選挙の候補者を一本化し、総選挙後構成される第19代国会で両党が推進すべき「共同政策合意文」を発表した。
従北左派性向の二人の代表が合意したこの政策が実践されれば大韓民国の本態が変わり、反共自由民主主義と法治主義と市場経済は根幹が崩壊し、その結果連邦制の共産統一に行く扉が開く。この合意文と両党の綱領や政策を要約すると、一種の従北社会主義革命路線だ。合意文の問題点のいくつかを紹介する。
*<「6.15共同宣言」と「10.4宣言」の履行を担保する立法措置などを通じて積極的な南北和解協力を推進する>:6.15宣言と10.4宣言は憲法に違反しており、そのまま実践すれば南北連邦制を通じて共産化される。李明博政府はこれに対して支持とも反対とも言わず実践はしなかった。両党合意文の通り履行を強制する立法をすれば、従北政権は北韓政権と手を握って大韓民国を解体する連邦制赤化路線が強行できるようになる。
*<「経済民主化」と「普遍的福祉」の実現を基本方向として設定し、国民が平等に暮らす大韓民国を作るため次の課題を実践する>:従北左派勢力の言う「経済民主化」は資本主義の原則を否定する「経済の社会主義化」の別の呼び方であるだけだ。「普遍的福祉」は画一的福祉であり国家財政の崩壊を予告する。
*<「所得最上位1%のスーパー金持ち増税」と「大企業への非課税減免範囲の縮小」を推進する>:上位1%と大企業が負担する税金は今も多い方だ。所得の上位1%が負担する勤労所得税は全体の45%だ。米国は35%。税金を納めていない40%の勤労者を扇動して税金をたくさん納める金持ちや大企業を圧迫すれば「普遍的福祉」を推進する動力を自ら切ることになる。
*<健康保険の保障性を拡大して事実上の無償医療を実現し、父母たちが安心して預けられる質の高い無償保育の全面実施と国公立保育施設の拡充を推進する>:この約束の実践にためには年間30兆ウォンが必要なのに、税金をたくさん納める金持ちや大企業を敵対視すればこのお金をどこから賄えるのか? 国債を発行するしかないがこれはギリシャへの道を進むことだ。
*<現政権が締結・批准した韓米FTAの施行には全面反対する>:これは大韓民国を国際社会の信用不良者になるように誘導することだ。そこまでしてでも韓米同盟を半身不随状態にする意図のようだ。
*<一方的に強行している(済州道海軍基地)軍港工事に対して深い憂慮と怒りを表する。我々は工事の即時中断を要求する。また、私たちは第19代国会で工事計画を全面再検討し、必要な場合責任糾明のための国政調査を実施する>:盧武鉉政府が始めた海軍基地建設まで中断させるということは、北韓海軍の作戦を楽にさせ、北韓海軍と中国漁船を監視せねばならない韓国海軍の作戦を妨害する意図と解釈せざるを得ない。
*<軍服務期間を短縮し、良心による兵役拒否者のための代替服務制を新設する>:北韓軍の5分の1に過ぎない軍服務期間をさらに短縮したら戦力が低下する。軍服務を罪悪視する人々の政策だ。
*<私たちは共同政策の実現のために4.11総選挙後、民主統合党と統合進歩党と市民社会(「円卓会議」など)が共に参加する、共同政策推進と履行の点検のための常設機構を構成して運営する>:ここでいう市民社会とは従北左派性向の団体を指す。従北政党と従北民間勢力が連係して従北社会主義革命路線を推進するということだ。
*<財閥の所有構造および経営支配構造を民主化し、便法的継承などを根絶して企業集団を一つとして規律する立法措置を講じる>:「経営支配構造の民主化」とは大企業の経営に従北勢力が影響力を及ぼすという意味だ。企業の従北社会主義化を試みるということだ。
*<(各種の)年金・基金の株主権を厳正に行使し、年金・基金の運営が大企業に偏重されないようにし、年金基金の公共的機能を強化する>:従北政権が登場すれば政府が管理する年・基金を株主権として悪用して、大企業への統制を強化するという話だ。経済まで従北社会主義化するという意図だ。企業を圧迫し、対北無条件支援や従北団体への支援に乗り出すようにさせる。
*<互恵平等と平和指向的な自主外交を推進し、非核化および平和体制構築を目標として南北関係を画期的に改善する>:「平和指向的な自主外交」とは韓米同盟を代替する中国‐北韓政権-従北政権の連帯を意味する。この合意文には民族共倒れの北核廃棄のための約束はなく、平和的核である韓国の原電建設反対だけがある。
*<国家の安保問題全般に関する決定に市民の参与を保障する>:ここで市民とは従北左派勢力を意味する。従北左派の政治勢力が軍の安保政策全般に介入するという背筋が寒くなる予告だ。従北勢力を主敵と看做す軍隊との衝突を予見させる。
*<国家保安法廃止などを含む人権を弾圧する反民主の悪法を改廃する>:国家保安法をさらに強化すべき環境でこれを廃止するというのは、連邦制共産統一への道に障害物を除去して北の工作員や反逆者らの活動を自由にさせるという意味だ。つまり、自由を破壊する自由を与えるということだ。
*<憲法上保障されている教師や公務員の政治活動を保障して、正当な政治活動から排除される集団がないようにする>:教師や公務員に反国家的従北政治活動の自由を許容するという意味だ。そうなれば、教師や公務員集団が労組を媒介に「合法的赤化」の主動勢力になれる。
*この文書に登場する用語らは大韓民国という共同体を階級的視点から分裂させるための悪意的煽動で満たされている。「国民絶望の時代」、「大韓民国歴史の暗黒期」、「政権のメディア掌握」、「生命破壊の4大江事業」、「検察は醜悪な政治権力の同伴者」、「結託した守旧メディア」、「所得最上位1%のスーパー金持ち増税」、「掻っ攫った言論悪法や韓米FTA」などなど。こういう殺伐な用語を用いる集団が政権を取って政府機関を総動員して「紅衛兵」のように憎悪心や敵対感を確信させれば血を流す事態が起こるだろう。
**結論:大企業と軍隊への従北勢力の介入と圧迫を制度化し、教師と公務員を従北化させて反共自由民主主義体制を壊して連邦制共産統一へ進む道を開くという意図と見られる。両党が国会と行政府の権力を掌握し、反憲法的(従北社会主義的)路線を強行したら、経済恐慌と法秩序の崩壊と大韓民国守護勢力の反撃を招いて最悪の場合内戦的状況が来るかも知れない。
*補足:民主統合党と統合進歩党は自分たちがこのように共同体を破壊しても北韓軍が南侵しないと考えるかも知れない。米国が安保を保障してくれるという考えで、そう考えるから安保と法治を破壊する行動を躊躇しないだろう。そうした点で彼らこそ根っからの事大主義者だ。朴正煕大統領は「駐韓米軍がある限り学生デモは終わらない」と言ったことがある。自主国防を放棄した政治は必ず汚い権力闘争に転落する。
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(従北両党の)共同政策合意文の前文
民主統合党の韓明淑代表と統合進歩党の李正姫共同代表は、民生破綻と不正腐敗で綴られた李明博政府とセヌリ党政権の審判、民主主義と平和の回復、労働尊重や福祉社会の建設という国民の輿望を奉ずるために今日全国的な包括的野圏連帯に合意した。
両党は総選挙での勝利と政権交替のために大同団結しろという国民の要求を奉じて、今回の4.11総選挙で汎民主進歩陣営が一つになる野圏連帯を成し遂げた。民主統合党と統合進歩党は4.11総選挙で共同の勝利、国民の勝利のために次の通り合意する。
1.両党は4.11総選挙で野党圏の単一候補を以って一緒に勝利し、総選挙後構成される第19代国会で両党が合意した「共同政策合意文」を実践する。
2.連帯の精神に立って、野党候補の一本化方案に合意する。
3.野党の単一候補の決定は100%世論調査方式で3月17日~18日の両日間行なう。ただ民主統合党の予備選が完了していない場合、候補登録まで完了することにする。
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