趙甲済
朴槿恵の非常対策委がまだ確定されていない党名・「セヌリ党(新しい世の中党)」を使い始めたのは民主的手続きを無視した態度だ。党名や綱領のような組織の原理を確定される前に使うのは一種の犯罪行為だ。
「セヌリ党(*新しい世の中=新天地党)」は、左翼政党名としては相応しいが、保守政党名には全く似合わない。「セヌリ」は新しい世の中という意味だ。「新しい世の中(=新天地)」を作るという意志を盛込んだと思われる。「新しい世の中作り」は左翼革命的発想であって保守的発想でない。「新しい世の中」(*新天地)という言葉の中には「古い世の中」に対する蔑みが入っている。「古い世の中を覆す」という意志の表れだ。大韓民国の既存秩序を蔑視する名称だ。
保守主義は伝統と歴史および美風良俗と憲政秩序を尊重する土台の上で問題点を直視し、これを徐々に着実に改善して行こうとする姿勢だ。左翼は革命的に旧秩序を破壊し、新しい世の中を作るという態度だ。急進的な左翼革命はユートピアを約束するが地獄を作り、保守的改革だけが文明を発展させて国民を幸せにした。
李承晩の建国精神、朴正煕の近代化精神、市民たちの非暴力的民主化伝統を誇らしい保守的価値として継承すべきハンナラ党が、このような成就を完全に否定する歴史観に立脚して、新しい世の中(セヌリ)を作るという「ユートピア的党名」を採択したことは、脱保守を宣言したも同然だ。
「セヌリ党」の名付けを、ハンナラ党や保守層には何の愛情のない広告専門家に依頼したことは朴槿恵の非対委が魂のない組織であることを自ら暴露したものだ。保守政党が持つべき自尊心と慎重さを簡単に売ってしまったわけだ。若者たちへの指導力を発揮すべき保守政党が、若者たちに迎合しようとしたがかえって彼らから嘲笑いを買った。
「セヌリ党」はハングル党名であるため日本と中国や東南アジアなど漢字文化圏の人々が理解できるように表記する方法も容易でない。漢字抹殺-ハングル専用による韓国語の半身不随化は社会の左傾化と噛み合っているが、伝統文化の伝達媒質である漢字を放棄したのも保守政党としては適切でない。
保守主義は愛国心を中心価値とする。「ヌリ」は「国家」ではない。「世の中」は国家を超えた国際主義的性向を盛込む。大韓民国は自由統一を完遂し、民族統一国家を成し遂げなければならない段階にきている。国際主義という贅沢を享受する余裕などない。共産党式の国際主義は階級的利害関係を愛国心より優先させることで国家的団結を阻害する。「新しい世の中を作る」を意味する「セヌリ党」は、あらゆる側面で左翼政党名であると断定できる。
名づけが良かったといって必ず出世するわけではないが、名づけを間違った人や組織は絶対に成功できない。アイデンティティの表象である名前が間違えば、目標と戦略と理念が歪んだ組織に転落して前へ進めない。「セヌリ党」は解体されるか消滅するか中小政党化するだろう。ハンナラ党が自我否定の自殺的改名の試みを内部で阻止する自浄能力がないなら、保守層はこの党を支持すべき理由を見出せない。
今まで韓国で登場した政党名の中で最高は朴正煕勢力が作った「民主共和党」だった。憲法1条から取った名前であり民主と共和を調和させるという意味だ。「民主共和党」は、近代化の牽引車の役割をなすことで、民主と共和が花を咲かせた大韓民国を建設した。ハンナラ党が「民主共和党」に改名すれば500万票はもっと獲得するはずだ。
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