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2011年12月01日 21:52
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助け合いの大切を知った1年
2011年を振り返って 

 世界が揺れた2011年があとひと月で暮れる。今年ほど人が助け合う大切さを再確認した年はないだろう。
 東日本大震災と大津波、福島第一原発事故で日本は大変な試練に直面した。在日社会も例外でない。しかし、団結と助け合い、英知と国際協力でひとつのヤマを乗り越えた。被災地に在日韓国民団はじめ在日同胞が積極的に参加して暖かい志を届けることができたのは忘れられない。完全復興まで私たちもできることから参加していこう。

権力世襲という障害
 一方、祖国韓半島では軍事先行の不安定な独裁体制を続ける北韓政権が相変わらず懸念の根源である。核開発と対南膨張政策、権力世襲だ。韓国海軍哨戒艦爆沈攻撃および延坪島無差別砲撃事件は対南膨張政策の前触れであり、休戦協定と南北不可侵合意で確認した原則に従って完全収拾しておくことが必要だ。その意味で北の謝罪は不可欠だ。権力世襲は改革の真っ先の対象なのにも関わらず、その兆しがない。逆に北は「近いうちに何か(戦争)が起こる」と無責任な噂を流布して引き締めを図り、後継固めを強行している。一族による長長期にわたる独裁は南北関係好転の障害である。

韓国政治の設計図が転換
 韓国では、10月末のソウル市長選が象徴的だった。与党敗北は示唆するところ大きい。ハンナラ、民主など大政党中心の政党政治を若年層が拒否した。有権者はより自由な発想で政治選択し、韓国政治の構図は転換した。これは来年の大統領選に続いていくだろう。
 大政党の敗北は、若者の就職難と2極化をわずらう韓国型格差社会の矛盾の噴出でもあった。
 とはいえ、この1年に雇用は50万人分が創出されているのも事実だ。若者の8割が大卒の時代、大企業志向で正規社員にこだわり、3K嫌いの2大病を若者は振り切ろうとしない。若年層の価値基準の切り替えも必要だ。
 福祉政策をテコにしたポピュリズムにも問題がある。この流れはいずれ韓国を大きな政府へ導き、国家財政と韓国経済を危うくすることが確実だ。ポピュリズムを主導する従北・親北勢力に対し、健全な自由民主主義勢力が対抗軸を構築することが急がれる。従北を排し、親北を克服する政治設計図を有権者に提示することが必要だ。また、親北的民主化でなく、国民の合意で生まれた法に立脚し、民主主義的手続きを尊重する法治国家を確立していくことも緊要だ。韓米FTA批准に反対する集会参加者が警察署長を集団で暴行するなどは法治が眼中にない異常な行動だ。

在日社会も変化の前夜
 在日社会も変化の前夜といって間違いないだろう。まず朝鮮総連が平壌政権に対して是々非々の立場で在日の立場と権益を主張できるようになるかが問われている。主権の原理を逸脱していることが明らかな権力世襲に総連内部が沈黙しているのは不可解と思えるが、内には議論があるようだ。「革命の継続のための世襲」と人民主権原理のどちらに真実があるか。総連大衆の軍配の向きが総連の今後を占う。
 民団でも世代交代と若返りのための作業は遅々としている。次世代のための民団社会構築の前途は平坦でないが、なんと言っても在日の結集体として民団の方策実践が問われている。本国政治と関係して民団に問われているのは自由民主主義政権の支援か親北政権誕生に再び譲歩するのかの路線選択だろう。2006年に総連と和解声明を発出したような不可解な事態を再び招くことがないよう備えを図ることを願う。
 来年いよいよ在外選挙が実施される。韓国国会議員選、大統領選ともに在日票は十分な重みを持つ。しかし現在のところ、在日韓国人の選挙人登録は不振だ。また違反の摘発や処罰はほとんど不可能な現行法の細則の改革が緊急に必要だ。
 在日の1票が韓国の立場に立つ祖国統一促進の1票として生きるよう期していきたい。

2011-12-01 2面
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