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2011年11月16日 07:44
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中央商銀はどうなっているのか(1)
続く慢性的な赤字体質 内部体制もまとまらず

 2007年12月、横浜商銀と北陸商銀が合併した。これによって誕生した広域信用組合が中央商銀(営業エリア7県・13店舗、本店は横浜市)だ。合併から4年が経過する現在、業績低迷と経営体制の不安定さが問題になっている。年内に予定されている臨時総代会の開催も日程が定まっていない。信用組合は地域の中小零細事業者にとってなくてはならない存在だ。中央商銀には、その役割を果たすことと健全な運営が求められている。

損失金は30億円以上

<合併までの経緯>
 2007年12月の合併前、中央商銀の前身である横浜商銀は6期連続無配当という不振にあえぎ、87億円の累積欠損を抱えていた。そこで採られたのが組合員一律7割減資という痛みをともなう非常手段だった。理事は100%減資に応じ、組合はその特別利益を欠損処理に充てた。
 この前代未聞の強行策で横浜商銀は巨額欠損を解消し、北陸商銀の出資金、全信組連(全国信用協同組合連合会)や韓信協(在日韓国人信用組合協会)の資本支援を得て新信組の船出にこぎつけた。

<赤字業績>
 合併後の中央商銀は、業績面では依然として赤字を計上している。合併のあった07年度の純損失は約11億8000万円。その後4期連続で赤字となり、10年度の未処理損失金は31億9000万円に膨れ上がった。
 不良債権比率も20~30%台に高止まりしている。08年度は24%、09年度31%、10年度35%だ。貸出金の減少からみて業務上の収益力が圧迫されている状況だ。
 自助努力と全信組連、韓信協からの資本支援を得て、自己資本比率は07年度6・62%、08年度4・64%、09年度4・26%、10年度4・38%と4%台は維持している。
 業績不振の打開は中核的資本である出資金や利益剰余金を今後積み増しすることができるかどうかにかかっている。しかし、金融庁は信用組合にも自己資本規制強化の新基準を今年度中に策定する方針で、地域金融機関の再編を促す方向に動いていることは、中央商銀にとって逆風になる。

<2度の業務改善命令>
 追い討ちをかけたのが職員の不祥事だ。本店営業部の出納主任が06年5月から08年9月にかけて約4億9000万円もの資金を着服していたことが発覚。中央商銀は09年4月になって事実を公表した。巨額の横領が判明した責任を取って当時理事長だった洪采植氏が6月に辞任した。
 また09年3月に行った約1億円の融資が、反社会的勢力に流れていたとして関東財務局から指摘を受けた。ほかにも合併前の北陸商銀で02年、約4億3000万円の預金が職員によって勝手に引き出されていたことも明るみに出た。
 関東財務局は、法令順守体制、経営管理体制および内部管理体制に重大な問題があるとして09年4月と10年8月の2度にわたり中央商銀に業務改善命令を出している。

<経営体制 理事の偏り>
 経営体制の面では、組合資産の大部分が旧横浜商銀の営業エリアで構成されているにもかかわらず、横浜出身の理事がいないことが目を引く。
 07年の合併当時、中央商銀の理事は48人態勢で、横浜と北陸から適正比率で選出されていた。
 これが定款変更で25人態勢になったあと、2010年6月の総代会では理事数は8人以上16人以内に。大幅改選の結果、8人の理事のうち7人までが北陸出身者で固まるという事態になった。長引く不良債権処理の過程で予期せぬ事実が表面化したこともあり、北陸側の批判に横浜側の反発が高まったことが原因だ。
 合併で横浜は86億円の赤字を消し、自己資本比率4%台を維持したが、その後も2期にわたって計70億円の引当金が出ている。「合併しても累積欠損が変わらないのは、実際の赤字額が150億円になるからではないか」という北陸側の反発があったためだ。
 今年6月の第4回総代会では、激論のすえ、横浜はもとより営業エリアの各県から理事候補をそろえ、年内に臨時総代会を開いて理事体制を強化することで合意に至った。しかし「現体制では改善の見込みなし」という意見も強く、理事を募る作業は進捗していない。
 現在の中央商銀は健康問題で陣頭指揮をとれていない日高明次理事長に代わり、鄭学永副理事長が指揮を執っているが、責任あるトップへの人事刷新も臨時総代会の任務になっている。

2011-11-16 3面
 
中央商銀はどうなっているのか(2)
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