金成昱
この時代最も大きな偽りの一つが北韓が改革・開放するだろうという観測だ。
想像して見ろ。北韓が中国程度でも改革・開放をして真実が流通し始めたら、北韓住民はこれ以上北韓政権を正統性ある政府として認識しなくなる。金日成の｢抗日武装闘争｣の虚構性、金正日独裁政権の邪悪な本質を悟って逃げるか、消極的でも抵抗するはずだ。今回の金正日の訪中(すでに7回目だ)も同様だ。言論は金正日が恰も中国式改革・開放をするように煙幕を張り中国側も煽る。
温家宝中国総理は東京での韓・中国首脳会談で、金正日訪中に対して｢中国の発展状況を理解してこれを自ら(北韓)の発展に活用するための機会を与えるための目的で招請した｣と主張した。温家宝の話は、改革と開放を通じての中国の発展振りを北韓がベンチマーキングするように金正日を呼んだと要約できる。温家宝また、こう付け加えた。
｢北韓指導者たちの訪中に対して、遠大な見識を持って戦略的次元で肯定的に評価していることに中国は留意している。｣
中国の北韓への最大利益は、韓・米の海洋勢力のアジア大陸進出の阻止にある。もっと冷静に言えば、西欧キリスト教理念の拡散を防ぐことだ。キリスト教の理念は自由・民主主義・法治主義を本質としており、これは中国式権威主義体制と衝突する。中国は｢帝国を夢見ながら｣、いや、生き残るためにも北韓政権を維持しようとし、北韓政権が維持さえ出来れば改革・開放などには何の関心もない。
問題は金日成偶像化や神格化で維持されてきた北の首領独裁システムは、改革開放と根本的に衝突することだ。改革・開放が中国式であれ韓国式であれ米国式であれ、改革と開放の扉を少しだけも開く瞬間、北韓体制は瓦解してしまう。中国もこれをあまりにもよく知っている。結局、金正日の訪中は北韓も中国も望まない｢改革・開放の詐欺劇｣だ。南・北韓の緊張を緩和させ、韓国の北韓への支援と支持を引き出そうとする安っぽいショーに過ぎない。
北韓問題を解決する根本的解法は、現実性のない北韓の改革・開放にこだわることでない。北韓を自由化・民主化する政権交替(regime change)の他は方法がない。
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最終更新日: 2024-05-15 06:23:21
