石巻市で古物商を営んでいた裵静子さん(61)は、津波から逃げ遅れた。屋根に上がろうと脚立に乗ったが、天井に手が届かない。胸まで冷たい水に浸かったまま1昼夜半、自衛隊に発見され、ヘリで救出された。泥水が肺に入り、胸が痛む。足には釘が刺さり、破傷風の治療を受けている。
裵さんは親も子どももいない一人暮らし。生計を立てるために古物商の免許を生かしたいが、あてはない。
相談相手はおらず、思案に暮れる毎日だった裵さんは7日、民団宮城などが行った炊き出しの現場にいた。同胞と会うためだ。こういうときだからこそ、誰かとつながっていたい。 |