未曾有の大災害に苦しむ日本の苦痛を、韓国人も共有している。「一番近くの隣人を助けよう」と、積極的に支援を行おうとしている。支援の波は政府だけでなく民間レベルでも競うように起きている。韓日関係史において、韓国が日本に対して今回ほど全面的な支援に動いているのは、例のないことといえる。(ソウル=李民晧)
韓国の反応は早かった。11日の東日本大震災地震が発生した翌日から、自発的な募金活動があちこちで展開された。
テレビ局は「日本助け合い寄付」キャンペーンを、新聞では連日紙面を割いて災害に襲われた日本国民を助けようという論調を展開している。年末年始に路上生活者を支援するための「赤色慈善鍋」による収益金募金活動も広がっている。韓国で3月に慈善鍋が登場したのは初めてのことだ。「隣国を助けよう」という声は、反日・親日で分裂しがちな韓国メディアと国民感情さえ超越した様相だ。
李明博大統領は18日、韓国の現職大統領としては初めて在韓日本大使館を訪問。大震災の犠牲者を弔問した。
李大統領は弔問録に「(大震災による)犠牲者の皆さんに、わが国民全員が哀悼を捧げます。日本が早く回復すると確信し、一番近くの隣人である大韓民国がともにいます」と書き残し、頭を下げて哀悼の意を示した。政府レベルでは日本に人命救助隊員を派遣。中性子を吸着させる効果を持つホウ酸52トンを支援するなど、素早い対応を見せた。
韓国ガス公社は東京電力に対し、火力発電所の燃料となるLNG50万トンをスワップ形式で支援することとした。50万トンは日本の一般家庭が消費する電力を1週間まかなえる量だ。SKイノベーションは、日本の1日の消費量の25%に相当するガソリン26万バレルを支援(輸出)する計画。GSカルテックスも、合計150万バレルの石油製品供給要請を受け、最大限応える計画だ。
韓国政府は、民間航空機を利用して日本の被災地に生活必需品を提供するなど過去最大規模の支援を検討している。
サムスン、現代自動車、LG、SK、新韓金融、NCソフトなどの大企業は1億円から5億円(サムスンは追加支援で計6億2000万円)、ハナ銀行も5000万円、俳優のペ・ヨンジュンやリュ・シウォンなどは1億ウォンから10億ウォンの義援金の支援を表明している。一般国民も大学生から元従軍慰安婦まで、老若男女問わず日本への支援を行っている。
前例のない積極的な韓国の日本支援の動きは、在韓日本人にも驚きとともに受け入れられている。
韓国滞在23年目の高橋哲也さんは「韓国人が無条件の声援を送っているのは予想を超えた出来事」と話し、「韓国式の慈善活動が日本に波及するのではないか」と述べた。韓国生まれの米国人医師ジョン・リントンさんは「07年、忠南泰安郡で起きたタンカーからの原油流出後、100万人以上の韓国人が力を合わせて原油を除去し、数年で環境を回復させたように、日本も『第2の泰安の奇蹟』を遂げられるように祈る」とエールを送った。
韓国は福島原子力発電所で放射能流出が起きて以降、在日外国人の“臨時シェルター"になっている。各国政府が自国民に退避勧告をしたため、在日外国人が日本から一番近くて安全な韓国に一時身を寄せているのだ。
17日にフランス人200人以上が入国したのに次いで、米国も駐日米軍の家族と軍務員1000人以上のために京畿道・平澤の米軍基地内に臨時宿所を用意した。
日本からの外国人避難民が増えたことで、ソウルや仁川市内のホテルでは外国人宿泊客の増加傾向が続いている。主にヨーロッパと南米出身者が多いというのがホテル側の説明だ。 |