文・ソンフィ(自由アジア放送記者、xallsl@rfa.org) 金正恩への後継権力構図で優位を先占しようとする北韓の権力機関間の競争と葛藤が深まりつつあります。来年の初めから金正恩偶像化のための集中的な宣伝攻勢が展開されると北韓内部消息筋らが伝えてきました。詳しい内容をムン・ソンフィ記者が伝えます。 左写真は労働党創建65周年慶祝マスゲームを見ながら拍手する金正恩. 12月27日、韓国のある言論媒体が、中国の対北消息筋を引用して、「最近中国内の北側公館や貿易関係者らに金正恩を『青年隊長』と呼ぶなという文書が示達された」と報道しました。 こういう報道に対して消息筋たちは去る11月10日、そういう指示が方針として下されたことを確認し、「後継者選定過程で疎外された宣伝煽動部が内部的な反乱を起こしたもの」であると主張しました。 過度で無理な金正恩宣伝のため、住民たちの中にあらゆる流言蜚語が横行していることに対して、金正日国防委員長が宣伝担当者らに卑劣な言葉を吐き出し叱責したと消息筋らは強調しました。 最近連絡がとれた両江道恵山市の幹部は、「去る11月10日、中央党の宣伝煽動部があげた提案書『金正恩大将同志の偉大性宣伝を一体化することに対して』が最終的に批准されて、『青年』、『若い』という言葉は絶対使えなくなった」と伝えました。 消息筋は、常識に外れて過度な金正恩宣伝が齎した厳重な結果に対して、労働党宣伝煽動部が報告書をあげてこれを読んだ金正日国防委員長が火の如く怒ったとし、そのため「人民武力部政治局と国家保衛部宣伝部幹部たちが処罰されたといううわさが幹部らの間で言われている」と言及しました。 労働党の宣伝煽動部が急に金正恩宣伝方法にブレーキをかけた背景に対しても、金正恩の後継者登場過程で完全に排除された宣伝煽動部が、「偉大性宣伝の一体化」というスローガンを持って本格的な主導権争いに飛び込んだものであると解説しました。 1970年代に金正日国防委員長が労働党宣伝煽動部を経て後継者の地位を固めたことに比べて、金正恩は軍部と国家保衛部を中心に権力を固めたため宣伝煽動部が感じた疎外感が大きくならざるを得ないということです。 好機を窺っていた宣伝煽動部が、過度な金正恩宣伝が住民たちの大きな反発を招いていることを口実に、金正日国防委員長に提議書を上げて、失った権力を取り戻すための本格的な巻返しに出たとのことです。 消息筋はこのような権力争いが宣伝煽動部で始まったものではないとし、金正恩に自分を売り込むための権力機関間の暗闘があまりにも凄まじくてこれからどういう結果を齎すか予測できないと展望しました。 一方、平安北道新義州市のある幹部も、「11月10日の方針によって、尊敬する金正恩大将同志、党中央委員会副委員長・金正恩同志、金正恩党中央委員会軍事副委員長同志とだけ呼ぶようになった」と説明しました。 彼は12月20日にも、金正恩の偉大性宣伝を対象と分類によって段階別に集中的に進行することに対する方針が下されたと話しました。今年の1月9日に金正日国防委員長が批准した「金正恩青年隊長の偉人的風貌と特出した資質に対して」を新しい内容をもって補充完成して新年初めから一般党員と勤労者たちにも学習させろとの内容だと伝えました。 また、12月20日の方針に従って、来年1月から6月までを金正恩の偉大性宣伝特別機間に定めて中央機関と道、市、郡級の指導機関が運営する幹部学習班と勤労者学習班などで金正恩の偉大性学習と討論が集中的に展開されると彼は言いました。 消息筋らは「金正恩と関連したすべての学習要綱らは、必ず労働党宣伝煽動部の承認を受けるか労働党宣伝煽動部が作成したものでなければならない」、「承認された学習要綱らは党中央委員会総務部から各地方党の宣伝煽動部を通じて配布される」と強調しました。 一方、すべての党組織から、「首領福、将軍福、大将福があふれるわが国」というスローガンを作業場や職場の建物の内外に貼るよう指示が下されたと付け加えました。 www.rfa.org 2010-12-28 |