金正日後 権力委譲は失敗?
韓国が北韓の崩壊によって手にする利益は何か。多数の専門家が挙げたのは「統一」そのものだった。
細かな意見を見ていくと、「韓民族国家の実現」(金総領)、「強大国への成長基礎固め」(姜哲煥)、「経済復興と国際的な地位向上」(外交官N氏)、「韓国は軍縮、北韓はインフラ整備」(三浦小太郎・「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」代表)などが挙げられた。
だが、統一するには“生みの苦しみ"があるに違いない。
現実的な問題として指摘されているのは統一費用だ。韓国の経済的負担と、60年以上分断されてきた南北のあらゆる分野における格差解消には、少なくとも1世代・30年以上の歳月がかかるともいわれている。韓国人は長期間におよぶ真の統一までの過程を耐えることができるだろうか。
これについて「大変でも韓国人は乗り越えられる」(45%)と答えた専門家が最も多かった。「統一費用と世論分裂などを勘案すれば無理」という意見は15%にすぎず、「段階的統一など、副作用を軽減する道を模索すべき」という条件をつけた意見も20%と少なかった。
金熙相氏は「6・25戦争(朝鮮戦争)が北韓に与えられた武力赤化統一の機会だったとすれば、今は韓国にとって平和自由民主統一の機会」と話す。その上で金氏は「極限状態に追い込まれた北韓の核と軍事挑発などを前に、私たちは好き嫌いでなく、自由統一を急ぐしかない」と力説した。
◆アンケート結果から見る統一の行方
本紙アンケートに応じてくれた専門家の意見をまとめると、次のようになる。
「南北統一は早くて5年、遅くとも10年以内に達成される。統一の利益はほかでもなく、韓国人が得る」
日本人の専門家(6人中5人)も韓半島の統一は時間の問題だと答えた。
一方、専門家の30%が統一の阻害要因として「韓国内部の分裂」を挙げた事実は、見すごせない警告だ。韓国内の統一意識と熱意は、それほど低いと見ていい。
実際、現実は看過できないところまできている。分断から2、3世代が替わった今、韓国人の大多数は分断状態を「当然の日常」と受け入れている。国民85%が、戦争を経験していないいわゆる「戦後世代」で、30%は開戦理由と開戦年を正しく答えられない。
韓国内には政府の政策に無条件で反対する親北・従北勢力がいる。彼らは北韓政権の側に立ち、宣伝・煽動を繰り返している。韓国社会では誰よりも「統一」を口にするが、北韓との協力、「私たち民族同士」を呼びかける言動は、結果として統一を妨げる要因になっている。「どの社会にも反対者はいるものと決まっているが、韓国はあまりにも多い」という日本人識者のコメントは、分裂された韓国の恥部をえぐりだしたものといえる。
本紙8・15特集号は「真の8・15は統一」というテーマだった。偶然の一致だったが、李明博大統領も15日の祝辞で「南北が平和と繁栄を成して統一の道に進むことは、韓民族の念願であり、真の光復を成す道」と述べている。多くの反対論を抑えて余りある意義があったと評価できる。
ドイツが20年前に統一できた決定的な要因は、東西ドイツ国民が強烈な統一への意志を持っていたからだ。
5000年の歴史を誇る韓民族にとって、分断65年という歳月は非常に短いようだが、その間に統一できなかったわけではなかろう。今までどれほど意志が足りなかったのか、なぜ統一をしなければならないのかということに、いかに国民が無関心だったのかを示している。
これには多くの原因があるが、中でも政府責任は小さくない。政府が「統一ビジョン」を作り、それを国民に広報することに疎かだったのは否定しがたい事実である。
「今まで私たちには分断状態での対北政策はあっても、統一政策はなかった」という韓国人専門家の指摘は、的を射ている。今こそ政府は、国民に統一費用と分断費用、統一利益について説明し、統一の当為性を知らしめなければならない。
アンケートに応じた専門家は韓国民を信じていた。統一への道は険しくとも、韓国国民は乗り越えるだろうという回答がもっとも多かった。
統一は国民が信念さえ持てば自然と近づくものだ。私たちの急務は、韓国国民として、統一は韓国人自らの強い意志で成し遂げなければならない歴史であり、国を豊かにする機会であることを自覚することだ。(ソウル・李民皓)
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