現在中断している金剛山と開城観光をめぐり、北朝鮮が韓国の関係者に圧力をかけている。4月1日までに事業を再開しなければ、新事業者に事業を任せるというのだ。すでに4月17日から中国の旅行会社などが金剛山を含む旅行を始めることを決定。金正日の意向次第で変わる当局の方針により、事業の継続に黄信号が点っている。 北朝鮮当局が韓国側関係者たちを対象に行った不動産所有状況調査初日の25日、16人の面談時間はたった15分だった。事業パートナーである投資家を金剛山とは全く関係がない韓国政府所有の離散家族面会所に呼び出してのことだった。
金剛山と開城観光は南北合意によって始まった。98年には、事業主の現代峨山と北朝鮮、アジア・太平洋平和委員会が事業合意書を締結。北朝鮮最高人民会議が特別法まで作り公布した。
金正日は現代グループの鄭周永名誉会長とその息子の夢憲氏、鄭名誉会長夫人の玄貞恩会長らと10回以上会い、02年からの50年間、金剛山観光事業独占権を保証した。
金剛山内の韓国の保有資産は、現代峨山が金剛山ホテルなどで2000億ウォン以上。他社が持つゴルフ場とスパリゾート、ホテルなどを合わせると、総額は6700億ウォンを超えると推測されている。
ある投資企業家は「北朝鮮は観光地区内不動産所有現況を把握しているはずなのに、1週間も調査をする理由が全く分からない」と話す。
北朝鮮は現代グループから今まで、金剛山と開城観光事業の代価として5億3800万ドルの現金を受けた。現代は今まで金剛山地区のホテルと埠頭、電力施設などに2000億ウォン超の設備投資、北朝鮮内7地域での通信・電力・鉄道建設事業権取得に5億ドルなど、計1兆3000億ウォン以上を北朝鮮に投資した。それ以外にも、観光客一人一人からインセンティブを北朝鮮当局に支払っている。
北朝鮮が金剛山観光事業主を中国の業者に変えるという見方もあるが、中朝の関係を考えると、中国企業が現代グループほどの代価を支払うとは考えにくい。
金剛山観光が中断された原因は、08年7月の韓国人観光客射殺事件からだ。政府は北朝鮮に真相究明と再発防止、観光客の安全保障などを要求したが、北朝鮮からは誠意ある回答を得られなかった。その年の12月には開城観光も中断。北朝鮮は現在までも文書での保証はしておらず、金正日が現代の玄会長との面談で口頭による身辺保障を約束しただけだ。
北朝鮮では、法より金正日が上位にある。南北和解の象徴の金剛山観光も、金正日の一存で無に帰す不安定さを抱えている。
(ソウル=李民晧) |