趙甲済
金正日政権がついに行き止まりに追込まれた。これは金正日が自ら選択したことだ。李明博政府が出帆した時、金正日は李大統領を金大中や盧武鉉政権のように対しながらせびり取ろうとしたが逆効果となった。金正日は、オバマ政府が出帆するや核実験をもって挨拶をした。これに対する国際社会の返事は対北制裁だった。国連安保理の決議で昨年の夏以降作動している対北制裁は、韓国政府の対北無条件支援の中断および中国政府の制裁参加と重なって効果を出している。この難しい時期に金正日の健康問題が発生した。「朝鮮労働党」の掌握力が弱くなる中、昨年の11月末金正日は「貨幣改革」という自殺ゴールを決めた。
北韓では重大な変化がひそかに進行している。
1.失政を繰り返す金正日に対する不満が拡散している。金正日政権に対する恐怖心も減っている。特に政権の突っ支い棒である幹部層では「金正日の第一線からの後退論」まで囁かれている。中国では毛沢東が大躍進運動に失敗するや第一線から退き、劉少奇と鄧小平に実権を譲ったことがある(後ほど文化革命をもって反撃)。
2.中国が対北制裁に参加する理由は、金正日に中国式の改革・開放に出るように圧迫するためのものと見られる。金正日が中国式の改革開放をやれば中国は金正日政権に対する影響力を増大させられる。北韓の開放は「核の放棄」なしには不可能だから中国式の改革開放は韓半島の緊張を緩和させるだろう。
3.金正日の後継者擁立が難しくなった。こういう状態で金正日が退場すれば権力の真空状態がもたらされて混乱に陥るかも知れない。
4.金正日はこの頃経済問題を多く話すという。「先軍路線」は後に回され「先経路線」が出たような感じすらする。それほど弱くなった証拠だが、経済とは命令通りにならないことに問題がある。商品の生産力があまりにも虚弱で回生の展望が立たないのが北韓経済だ。
5.貨幣改革で物価が上がり、物は供給されず、特に食糧不足事態が深刻だ。生計や生存次元の集団行動が起きる条件が熟しつつある。
6.軍隊が民間人たちを略奪して民・軍の関係も悪くなっている。こういう軍隊が示威の鎮圧に動員されると不測の事態が起きるかも知れない。
7.2005年以降続いている対北金融制裁のため、金正日の政権運営資金が減っている。
8.金正日の選択は何か? 核武器の放棄、中国式改革開放、今のように時間稼ぎの中で一つであるはずだ。
9.北韓労働党幹部層の選択は何か? 金正日を退場させる、不満を募らせながら機会を狙う、今のような屈従の中の一つであろう。
10.韓国政府の選択は何か? 対北無条件支援の中断を堅持、李明博・金正日会談で対北封鎖網に穴をあける、北韓政権打倒工作の中の一つであろう。
11.韓国人の選択は何か? 北韓政権を打倒することに協力、対北支援の名目で北韓政権を助ける、黙っていることの中で一つであるはずだ。
12.北韓住民の選択は何か? 市場経済を拡散させる、金正日政権に抵抗する、金正日の暴政に抵抗せず順従の中で一つであるはずだ。
今夜に平壌版の「10.26事件(*朴正熙大統領暗殺事件)」が起きて金正日が呉克烈や張成沢の銃に撃たれて死んだとしても「有り得ないことが起きた」というほどではない。それほど北韓情勢が流動的に変わった。こういう時期はチャンスだ。決定的な瞬間では決定的行動が必要だ。獅子の胸とキツネの頭と鷲の目を持った指導者が、信念を持って行動する時、歴史の主人公になるのだ。歴史は作られるものでなく作るものだ。
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