咸鏡道など地方での餓死者発生が伝えられるなか、北の食糧不足が事前の予測に反して深刻な状況にあることが、韓国政府の公式な食糧生産量推計で明らかになった。
昨年11月の「通貨交換措置」(デノミ)が裏目に出て食糧価格も高騰しており、北は誤った収穫見通しで豊作を前提に同措置を断行した可能性もある。金英逸首相が金正日誕生日を祝う15日の中央大会に異例の欠席までして咸鏡道での混乱収拾に乗り出しており、食糧不足の深刻さを裏付けている。
韓国政府当局者が明らかにした北の昨年食糧生産量(推計)は411万トン。最低限の所要量に比べ約129万トン(24%)不足する。北はこれを輸入するか、国際支援に依存する必要がある。韓国は前年生産量を431万トン(北は国際機関に468万トンと報告)と推計しており、前年比20万トンの減少理由として(1)水害・冷害によるトウモロコシ不作(2)韓国からの支援が2年間中断したことによる肥料不足――をあげている。
北は昨年10月、国際食糧農業機関(FAO)と世界食糧計画(WFP)に対して同年の食糧生産量をコメ234万トン、トウモロコシ170万トンをはじめ計501万トンと報告していた。またその1カ月後には穀物に限定した生産量を353万トンと通知していたため、深刻な食糧難には陥らないと国際機関も予想していた。
今年に入って、中国の貿易業者に対する穀物輸入注文が急増しており、また韓国の援助団体にも「(量は)いくらでもいいから送ってほしい」と北側からの要請が相次いでいる。
北の誤った生産量推計は地方部署が「150日戦闘」などの成果を示すため、虚偽の報告を中央に行った可能性が大きいと見られる。 |