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2010年01月27日 00:00
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ワイルズ教授は言った「統一に備え北朝鮮を深く研究してみないか」
【連載開始】朴在圭 北韓研究40年~南北会談10年の回顧①

 2000年の南北首脳会談で、6・15宣言が採択されて今年で10年を迎える。当時統一部長官で、南側の実務総責任者だった朴在圭・慶南大学総長(65)に話を聞くことができた。

  「北朝鮮を研究する?」
 朴在圭が北朝鮮に関心を持ちはじめた60年代後半、誰もがそう聞き返してきた。金日成は「徒党」、北朝鮮は「傀儡」と呼ばれ、敵として存在するだけだった。学術的な研究対象にはなりえなかった。

 「67年、ニューヨーク市立大学大学院に留学していたときにピーター・ワイルズ教授の『ソ連経済学』を受講したのがきっかけだった。ソ連の集団農場コルホーズの分配システムは、私の好奇心を刺激しました。それと同時に、同じ共産主義体制である北朝鮮のことをあまりにも知らない自分が恥ずかしかった」

 朴が北朝鮮と統一問題を一生の研究テーマに選んだ背景には、世界的な社会主義経済学者であったワイルズとの出会いがあった。ワイルズは弟子の朴に助言したという。

 「君は国際政治よりは北朝鮮研究をするほうがいい。いつか韓半島が統一されるから、それに備えて北朝鮮を深く研究してみないか」

 20代前半の青年朴在圭は「南北問題を扱う研究所を作る」という夢を抱いて帰国の途についた。兵役についていたときも、後に慶南大の経営に参加するようになったときも、南北問題に対する関心はなくならなかった。周囲は「研究所の設立は非現実的」と翻意を促したが、朴はかたくなに研究所設立にこだわった。

 朴の持論は、将来の統一に備えるためには不毛状態に近い北朝鮮と社会主義圏、共産主義体制を研究しなければならないというもので、研究を通じて蓄積された理論は、統一政策を提示するために使われるべきと考えていた。
 「馬山大学(慶南大の前身)の教授の名刺を持っていくと、皆が『おかしいのではないか』といぶかしがる。当時の韓国には大学生すら多くなかった。海外留学をしてきた人材は珍しかった。ましてアメリカで大学院まで出た研究者となれば、ソウルにあるどの大学でも選べる立場にあった時代だった。だからよく笑われた」

 朴は71年、慶南大の経営に参加し、研究所の設立準備に取り掛かった。そこで直面したのが、キャンパスが置かれている馬山の地理的問題だった。
 馬山は地方の中規模都市であるため交通事情が悪く、研究の必須条件である学者間の交流さえ不便な場所にあった。研究活動に必要な情報を収集し、多様な南北の動向をキャッチするためにも、朴はソウルに研究所を構えなければならないと訴えた。大学の発展を思っての提案でもあった。

 当時の慶南大は学生数わずか100人ほどの小規模な地方大学だった。朴は反対する人々に「研究所を慶南大の看板にする」と説得した。

 紆余曲折の末、朴は72年、ソウルの光化門付近に事務所を一室得ることに成功した。「慶南大極東問題研究所」だった。

 首尾良く韓国の中心部に構えた研究所は、実際は粗末なものだった。所長は朴在圭本人。研究員(廉弘喆・元大田市長)は1人だけで、資料棚には北朝鮮関連の記録物は全くなかった。比較対象になる共産主義関連の書籍さえ、数冊だけだった。この小さな研究所が三十数年後、北朝鮮と統一分野に関するかぎり世界最高の研究所と評価を受ける慶南大極東問題研究所になった。

 研究所は大学の看板になり、学生数100人だった慶南大は今、1万5000人の学生でキャンパスがあふれるほど、活力にあふれる地方の名門大学に位置づけられている。

<朴在圭(パク・ジェギュ)>

 1944年生まれ。米フェアレイ・ディキンソン大学政治学科卒業後、米ニューヨーク市立大学大学院政治学科修了。73年から慶南大で教授や極東問題研究所所長を務め、86年、同大総長。99年から統一部長官。2000年の第1次南北首脳会談を推進。

※おことわり:この連載は朴氏の北朝鮮および統一研究をテーマに扱います。本紙の主張と一致しない記述もあります。

(ソウル=李民晧)

 

2010-01-27 3面
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記事: 統一日報社  
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