「北朝鮮が対南サイバー攻撃を大々的に準備中だ。2009年の7・7サイバーテロより進化した形態だ」
脱北知識人の学術研究団体であるNK知識人連帯キム・フングァン代表は8日、京畿道・水原で開かれた「国家産業技術流出対応カンファレンス」でこのように主張した。金代表は03年までの19年間、北朝鮮コンピューター大学の教授を務め、04年に脱北した。
去年1年間だけを見ても、韓国情報当局が北朝鮮による犯行と断じたサイバーテロは複数回あった。
韓米連合司令部の将校のコンピューターに侵入し、作戦計画(OPLAN)5027の情報を盗んだ事件もあった。同計画は北朝鮮が対南挑発を行った際の韓米連合軍の対応で、極秘文書に属する。
7月7日にはDDoS(複数のコンピューターから集中アクセスを試みること)攻撃を仕掛け、韓国のインターネット網を無力化させた。韓国では数日間、主要メディアと銀行のサーバーがストップし、大混乱に陥った。
NK知識人連帯が集めた情報によると、昨年8月中旬、軍の将官級幹部講演会が開かれた。その席上、7月のDDoS攻撃を成功させた軍サイバー部隊(偵察局121小隊)に対する論功行賞が行われた。
金代表は「121小隊は新しい形式と破壊力を持った第2次サイバー攻撃を準備中」とし、「DDoS攻撃を発展させたVDDoS攻撃が典型的な手段」と警告した。
VDDoS攻撃は、外部からの攻撃にさらされにくいイントラネット(社内や省庁内のみの通信網)に対するサイバー攻撃だ。DDoS攻撃と攻撃方式は同じだが、フリーサーバーと仮想IPアドレスを無限に複製するのが特徴。攻撃・制御サーバーを偽装・隠蔽することで、攻撃を受けた側の逆探知をしづらくさせる手法だ。
VDDoS攻撃はインターネットサービスを不能化させるだけでなく、ハッキングしたサーバーから重要な情報を抜き取れる。また、攻撃したサーバーとゾンビPCシステムを破壊することもできる。
北朝鮮は平壌の平壌学生少年宮殿や万景台学生少年宮殿などで、ハッカー専門家を養成している。年齢は10歳からで、年間の教育時間は、韓国の大学のコンピューター専攻学科に比べて2倍も多い。北朝鮮の金一軍事大学(別名・美林大学)では毎年100人のハッカーが養成され、中国で活動する北朝鮮ハッカーは1000人以上といわれる。
韓国国防部は北朝鮮のサイバーテロ対策として11日、国防情報本部傘下にサイバー司令部隊を創設した。同部隊はハッキングの予防と保安、復旧を総括し、有事の際にはサイバー空間での軍事作戦も遂行する。
(ソウル=李民晧) |