開かれた北韓放送
北韓国境地域の咸鏡北道で2009年の12月31日、中国元貨の闇為替レートが1:1,000ウォン(新札を基準)まで上がった。通貨改革の新札と旧札の交換比率が1:100だから、旧札だったら1:100,000に該当する。通貨改革前の為替レートは1:588ウォン程度だった。だから、中国元が通貨改革後約170倍暴騰したのだ。そして同じ日(12月31日)新義州では咸鏡北道よりもっと高く1:1,100ウォンに取引きされたという。
北・中貿易に従事する朝鮮族の話(1月1日)によれば、中国元の闇為替レートは通貨改革以後値上がり続けたという。貨幣改革直前に1:588(新札換算1:5.88ウォン)程度だった為替レートは、貨幣改革直後の2009年12月3日には1(元):50(ウォン) (新札基準)まで上がった。その後にも値上がり続け、12月15日は1:520、27-28日には1:8~900、29日からは1:1000に肉迫し、12月31日までこのレベルを維持した。
中・北国境地域で主に通用する外貨はドルでなく元だ。だから元貨の為替レートは実質市場価値を反映する。ところで、このように一ヶ月で為替レートが170倍暴騰したのは北韓歴史上初のことだ。いや世界的にも稀だろう。
では、なぜこのように暴騰したのか? 消息筋は二つの要因が元の闇為替レートの暴騰を齎したと説明した。一つは、輸入ワク制(輸入クォーター割当制度の北韓式表現)が齎した弊害で、もう一つの要因は、北韓当局の外貨使用禁止令が招いた副作用だ。
まず、輸入ワク制の弊害の意味を見てみよう。輸入ワク制とは北韓当局が各貿易機関に1年間の輸入物量の総量を割当てることだ。各機関は割当された輸入量を年末まで必ず達成しなければならない。そうでないと、次年度の輸入割当量が減るか無くなるなどの罰則を受ける。だからどんなことがあっても輸入割当量を達成しようとする。
それで、年末になると、各貿易機関は達成できなかった輸入ワク(割当量)を達成するため無理に輸入量を増やす傾向がある。このように12月には輸入が急増するため為替レートが上がる傾向はあった。だが、その上昇の幅は前月と比べて20~30%未満だった。今回のように170倍、すなわち17,000%の為替レート上昇とは市場が狂ったことだ。この想像も出来なかった為替レートの上昇には他の要因がある。
それは北韓当局の外貨禁止措置で元貨が市場で消えたためだ。北韓当局は2010年1月1日から外貨使用を統制(禁止)するという布告文を2009年12月28日出した。だが、実は11月末の通貨改革の直後から保有する外貨は申告せねばならず外貨を直接使用すると処罰されるという噂が広がった。その後から市中で通用する外貨が急速に減り始めた。そして貿易機関らは輸入のための外貨を確保するのが至難のわざになったのだ。このため通貨改革後の12月から為替レートが天井知らずに上がり始めたのだ。
分かりやすく整理すれば、北韓当局の外貨使用禁止政策と年内に達成せねばならない輸入割当制が相乗作用を起こして闇の為替レートが170倍も上がる驚天動地の事態が発生したのだ。
もちろん、今の闇為替レートは次第に落ち着くだろう。未使用の輸入クォーターを達成するための無理な輸入はもう終わったからだ。しかし、為替レートが安定するまでどれほどの時間がかかるかは見守る必要がある。北韓当局の外貨使用禁止で凍りついたドルや元が直ぐは出回らないはずだからだ。
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