9月25日のピッツバーグ声明で、第3回主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)はG20が「国際経済協力のプレミアムフォーラム(最高協議体)」であると位置づけ、世界経済・金融協議の主要枠組みを先進大国のG8からG20に転換することに合意した。
ロシアを含むG8のGDPは世界のGDPの50%に低下した反面、G20諸国のそれは世界GDPの85%を占める。米国のサブプライム信用破綻に端を発した100年に一度といわれる世界金融危機克服のため、先進・新興諸国を問わず世界の主要な経済主体がマクロ経済・金融協議に緊密に関与しあうことを受け入れた世界経済の新しい波を象徴させる合意だ。
11年からの年1回の定例化を前に10年6月のカナダに続き11月にはアジアで初めて韓国がサミット主催国になる。G20の議題は、当面の金融危機克服から「危機以降の管理体制」に拡大された。今後、世界の食糧・エネルギーの安全保障、金融アプローチの強化、地域開発に拡大されていくという。
新興経済圏の力
韓国政府は10年に開催されるサミットで、「経済リソースの創出」という世界各国の共通議題を重要議題として取り上げるとの構想を明らかにした。また、先進主要国と開発途上国の仲介者として韓国がイニシアチブを取るという意志を示した。
意のままに行くならば、韓国は世界経済の持続的な均衡成長の仲介者としてグローバルな経済協力体制を構築するリーディング国家として精一杯の役割を果たすことになる。しかし、韓国がその構想を実現するためには世界経済の冷厳な現実を直視しなければならない。
まず、新興経済圏諸国と呼ばれる国のなかでもロシア、インド、ブラジルのような国は準大国の潜在力を持つ国々である。G8からG20への転換は世界経済・金融システムでの役割交代という未経験の大課題まではらむプロセスとならざるを得ない。
中国との関係が試練
とくにそのなかでも注目される国が中国だ。世界銀行によれば、08年に中国は1人当たりの国民所得が2770ドルにすぎないが、13億という巨大な人口が土台となってGDPは3兆8600億ドルと、ドイツを抑えて世界3位に浮上した。外見は新興経済圏に属し、貧しい国家にすぎないが、実質的な影響力という面では米国と並ぶG2経済大国との評価を受けているのが中国だ。
世界情勢は複雑だ。新興国とくに華僑経済圏の盟主といえる中国の台頭は多極化する世界のさまざまな変数を顕在化させている。東南アジア、東アジア、韓半島は中国のプレゼンスの洗礼を浴びている。米国と二人三脚を組みながら大国主義的政策を推し進める中国との距離をどううまく保ち、望ましい関係を維持していくのか。試練続きだろう。
韓国は分断国家のまま60年を歩み、経済国家の地歩を築いてきた。開かれた経済社会であることを最大限に生かして成長と発展を遂げた。
経済のファンダメンタルズは決して恵まれていないが、構築された確実な経済システム、金融インフラを駆使して通商国家としての地位を固めた。ここまで韓国が掘り起こせた成果は、米国、日本との経済的なパートナーシップがあったればこそと評価されよう。
一方、われわれはG20体制の構築がもたらすであろう世界経済軸の再編の可能性と、米国と中国の主導権争いを綿密に分析して備えなければならないと考える。
現在までG8体制は米国主導の世界経済秩序を代弁してきたとするなら、これからのG20体制は中国の編入によって新たな様相を展開する可能性が高まった。中国は世界において最も多くのドルを保有する国であり、ASEANとして肩を並べる東南アジア諸国を経済的に思いのままにしている。
同じアジア圏に属しながら中国との貿易規模が大きい韓国としては長期的に、米国と中国の経済的主導権争いの間に挟まって選択の強要を強いられることもありうる。
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