08年も慌しく過ぎようとしている。今年、韓国の保守への10年ぶりの政権交代で韓日関係は好転した。しかし懸念もある。
2月に文部科学省が学習指導要領解説で独島(竹島)領有問題に触れ、韓国と日本の間の領土問題が再燃し、駐日韓国大使の抗議の一時帰国を招いた。
その後4月、今度は韓国与野党議員70人が「対馬韓国領有説」を唱え、韓国国会に「対馬島法案」を提出した。提出されたものの議案として上程もされず、審議もされてはいない。
最近になって、今度は日本のある全国紙が「対馬が危ない!」キャンペーンを張っている。「竹島」が「対馬」に飛び火した。このような韓日友好を阻害する一部の動きは、百害あって一利なし、である。
対馬に飛び火した?領土問題
本紙は独島が明確に朝鮮半島の一部であるとの見解を堅持する。しかし「対馬が韓国領」とはとんでもあるまい。法案化したというから、立法事実的根拠があるはずで、議員らはその根拠を示すべきだ。日本の独島領有論に対抗する対馬領有論だというなら、ためにする論であり取り下げるべきである。
「倭人は帯方の東南大海の中にあり。山島に依りて國邑をなす。…始めて一海を渡ること千余里、対馬國に至る。…」
魏志倭人伝の有名な描写だ。
1300年後、朝鮮通信使の対日派遣をめぐって対馬藩宗家は朝鮮王朝と江戸幕府の仲立ちを行った。宗家は時に板ばさみとなり、国書偽造まで行って両国間の調整に当たった。
釜山から対馬は旅客船で1時間40分ほど。島ではアリラン祭など韓国との友好をあらわす催しが定例化している。ところが「対馬が危ない!」とある全国紙は対馬が韓国人に乗っ取られんばかりのキャンペーンを繰り広げている。海上自衛隊対馬防備本部の隣接地を購入した韓国資本がリゾートホテルを経営していることから、外資規制・基地防衛論を煽っている。
「(土地買占めのあと)地方参政権で実効支配してしまう可能性もある」と言うのは、領土帰属問題と永住外国人への地方参政権付与問題を同列にしたこじつけだ。
11月6日開かれた「日本の領土を守るために行動する議員連盟」の緊急総会で有事対応について防衛省課長は「対馬は山がちでゲリラ的な戦いになる。けものみちに至るまで熟知した部隊を置いている」と答えた。
韓国側にしろ、日本側にしろこんな形で両国間に火ダネを作り出そうとするのは、決して見過ごせるものではない。
共通の価値観、共同の利益
サッカーワールドカップ韓日共催で始まった21世紀の韓日交流が、こんなことで頓挫するのでは韓日友好が問われる。韓流大衆文化が日本人に韓国文化と韓国人の精神性を深く伝えて受け入れられている時に、「対馬島法案」「対馬が危ない!」キャンペーンのような非論理な言辞によって韓日友好の筋道が大きく横に逸れることのないように警戒しなければならない。
独島・対馬領有問題にみる韓日間の懸案克服には実事求是の精神で進むことが大切だ。歴史認識を共有することは不可能だ、とよく言われる。しかし、韓日は歴史の流れを「共にした」隣人同士であるとは言いうるだろう。めざすのは敵対関係でなくパートナーシップである。
李明博大統領は先月の訪米で「韓国は朝鮮半島の自由民主主義統一をめざす」と明言した。60年代、70年代、80年代のあの厳しい時代条件の下で、韓国は民主化をなしとげた。体制の抑圧のない自由な大衆社会を大切にしている。
韓国と日本は同じ価値観を掲げ、共同の利益を追求している。懸案が頭をもたげ、一部で自国の利益に傾く動きが出ても良識で判断するべきだ。日本側もそうだが韓国側もそうだ。波乱が発生する時は双方の識者が、両国をよい関係へ運ぶよう、関係を高めていかねばならない。韓日関係は、朝鮮半島と日本列島との友好を志向する東アジアの隣国関係の一環をなすという気持ちに立脚することが大事ではないだろうか。 |