金成昱
「開城工業団地」の現住所は絶望的だ。
北韓政権と左派勢力が、「開城工団の閉鎖」を前面に出して政府に「対北屈従」を強いている。開城工業団地が、いわゆる「平和」と「繁栄」だという主張だが、これは事実でない。
2004年9月稼動し始めた開城工団は、3年過ぎた今「経済論理」から完全に外れている。正常な南北経済協力を主張してきた「南北フォーラム」の金圭喆代表はこのように話す。
「南・北経済協力の十年間余り、1000社余りの会社が参加したが、700~800余りの会社は不渡りを出した。残りは損害をこうむりながらも、政府の特恵で変則的に稼動している。それも、『折り紙』式の零細な所が大部分だ。」
開城工団は、よく国内で限界状態に達した企業らが入ると知られている。去年の末、ハンナラ党の李漢久議員が発表した資料によれば、開城工団の入居企業274社の中、稼動業体は52社で、現況把握の可能な現地法人は16社だけで、その中で13社、何と81.3%が赤字状態だ。
同資料が伝える「開城工団」の現住所は絶望的だ。2006年の「平均負債比率」は438.8%として国内製造業者平均(98.9%)より4.4倍も高い。「平均資産」は44.9億ウォンで、国内製造業者平均の1/7のレベルだ。「平均売上額」は7.9億ウォンで、国内製造業平均の1/46のレベルだ。
開城工団は、「生産原価」が低いのが強みだと宣伝されてきた。実際、開城工団の生産原価は国内生産原価の61.6%水準だ。だが、「平均生産性」は、国内の同種業種対比53.7%に過ぎない。
開城へ進出したある企業人はこのように話す。「北朝鮮の勤労者らは国からの配給に慣れて『なぜ仕事をしなければならないのか』が分からない。はなはだしきは誰かが熱心に仕事をするといじめられる。実際、労働生産性はわれわれの5分の1の水準で、これさえ一定していない。」
開城工団に進出した企業の損害は、政府の融資と特恵で埋められた。統一部のホームページに載った最新版(2008年4月末)の南北協力基金の統計資料によると、今まで南北経協企業に、「南北交流協力支援融資事業」として6,629億ウォンが支援された。
また、開城工団支援事業など、いわゆる「対北経協・交流協力基盤造成事業」の名分で6,207億ウォンの南北協力基金が使われた。例えば、2007年に「開城工団基盤施設建設費用支援事業」の名目で39億3千万ウォン、2008年は「開城工業地区管理委員会の所要経費」の名目で27億9千2百万ウォンが使われたり執行される予定だ。
以上の「融資事業」や「基盤造成事業」を全部合わせれば1兆2,836億ウォンに達する。
「南北協力基金」が受けられない場合は、また他の手段が動員された。例えば、産業銀行は、信用状態が不良で、南北協力基金の貸し出し条件を充たせなかったり、貸し出し限度の超過状態の北朝鮮進出企業10社に対し1435億ウォンを貸し出しした。
盧武鉉政権は、2005年5月10日、汎政府次元で「開城工団入居企業支援機関協議会」を構成し、組織的な支援に出た。汎政府次元の地方公団への支援がない現実に照らし、これも開城工団だけの特典だ。
この協議会には、政府の三つの部処(財政経済部・産業資源部・中小企業庁)および13の関連機関(産業銀行・輸出入銀行・企業銀行・信用保証基金・輸出保険公社・貿易協会・大韓商工会議所・中小企業振興公団など)が参加し、資金・技術・販路・広報などの業務を支援する。
税制面でも利益発生後も5年間、法人税が免除された。言葉どおり破格だった。
開城工団の企業らに対する貸出の条件も破格的だ。貸出金利、貸出し限度、信用保証限度などすべての面で「国内の工団」より有利だ。李漢久議員側の資料によれば、開城工団の企業らと国内企業らの平均国庫債の金利は、各々2.3%~4.2%対5.0%で、大きな差を示した。貸出し金の支援限度も、50億ウォン対20億ウォンの大きな差があった。
開城工団の企業らは「損失補助制」の適用も受けた。企業ごと50億ウォンの範囲内で実補助費率は90%だった。一言で、避けられない損失が生じれば殆んど政府が肩代わりするということだ。
「開城工団と金剛山観光のドルは北朝鮮の軍事費へ転用」
開城工団は、「繁栄」はもちろん、「平和」ももたらさなかった。開城工団と金剛山観光を通じて渡されたドルは、北朝鮮の軍費に転用されるためだ。
北朝鮮は「先軍政治」が一種の国是である。外部から入るすべての資金・食糧・物資は軍隊へ行く。韓国がむやみに与えたドルが軍費に「直接」転用されないとしても、結果は同じだ。外貨を節約させ、「結局」軍事能力を高めてあげる。こうなったため、むやみな支援が本格化した2000年以後、北朝鮮の軍事費支出は3倍以上増えた(出処;Military Balance).
開城工団は、「平和」と「繁栄」の仮面をかぶった幻影であるのみだ。「開城工団を閉鎖する」という恐喝に驚く理由も、止める理由もない。
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