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最終更新日: 2026-02-10 14:33:13
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2026年02月10日 10:48
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韓国教育財団・碧夆奨学基金と私 第10回
ニューヨーク大学ロースクール 具良オクさん

 韓国教育財団碧夆奨学生として、ニューヨーク大学ロースクールを修了。現在韓国に在住し、国内に2人しかいない日本法弁護士として、韓国企業の日本進出、韓国所在の日系企業の法律支援など、日本関連事案を一手に引き受ける多忙な日々を過ごしている。
韓国人集落として有名な京都府宇治市のウトロ地区で生まれ育つ。インフラが未整備で大雨が降ると洪水が発生する劣悪な住環境だったが、「溢れた雨水の汲み出しを住民同士で助け合い、自宅に鍵をかける必要がないほど治安も良かった」と振り返る。
高校3年生だった2000年、土地所有権の問題からウトロ地区立ち退きを求められた訴訟で、住民側全面敗訴が最高裁で確定した。ふるさとに居場所がなくなるような喪失感に襲われたが、親身になって支援してくれた弁護士の姿勢をみて自らも志すようになる。
弁護士になったばかりの09年、自らの母校である京都朝鮮第一初級学校前での在日特権を許さない市民の会(在特会)による抗議街宣が勃発する。まだ駆け出しだったが、在特会に対する民事損害賠償請求訴訟の弁護人を務める。
裁判ではヘイトスピーチ研究の第一人者であるニューヨーク大学ロースクールのジェレミー・ウォルドロン教授の文献を引用した。この訴訟は5年間の闘いの末に勝訴する。
「日本での差別事案法制度の不備を痛感した。ウォルドロン教授の元でヘイト法制度について学びたい」と留学を志願する。
しかし当時はシングルマザーとして幼い娘を育てていて、費用を工面する余裕はなかった。
そんなとき碧夆奨学基金のことを知り応募する。面談では娘をどうするかを聞かれた。高齢の両親を頼ることができなかったので、迷わず「連れて行きます」と言い切ると、面接官は「あなたはいばらの道をいくのですね」と返答した。
「どんなに困難でもやり遂げる、という覚悟が共感を得られたのだろう。今振り返っても肝が据わっていた」。
採用の通知を受けたときには、「これで諦めなくていい」と娘を抱きしめ声を上げて泣いた。そのときの娘の「どうしたの」という顔が今も忘れられない。
17年に渡米し、2歳の娘との1年間の留学生活が始まった。住まいはニューヨークとはハドソン川を挟んで隣接するニュージャージー州のコリアタウンにある在米韓国人の壮年女性家主の一軒家でのルームシェア。家賃を節約するため、半地下の部屋を借りる。
大学へ行っている間は保育園に娘を預ける。帰宅後は午後7時半に寝かしつけて8時から勉強する。午前3時に床に就き、3~4時間の睡眠という日々。
当初は授業の英語が理解できずひとり泣くこともあったが、録音した授業を聴きながら復唱することを繰り返して克服した。それでも「しんどい」と母親に電話で告げると、「戻っておいで」という返答に、日本便のフライトを調べたが、「必ずやりとげる」という志を思い出し、すんでのところで踏みとどまったこともある。
苦しいことが多かったが、家主から気に入られ、娘の子守りを手伝ってくれたり、手づくりの韓国料理をごちそうしてもらったこともある。1年契約が終わるころには、「家賃はいらないからもう少し住んでほしい」と懇願され、抱きしめられた。
「苦しくても頑張っていると、助けてくれる人が現れる。本当によい出会いだった」。今でもつながりは途絶えず、家主が韓国に一時帰国したときには会うことを楽しみにしている。
在日韓国人の問題を通じて、差別、ヘイト、人権を考え、改善する活動をライフワークとしている。遠い夢がある。
「すでに欧州、米州、アフリカにある人権裁判所を、アジア初としてソウルに設置するため尽力したい」。普遍的な権利保護のため、自らの役割を果たす。
(佐竹一秀)

 具良鈺(ク・リャンオク) 1982年生まれ。京都府出身。在日韓国人3世。大阪市立大学法学部卒。同大ロースクールを経て、2009年弁護士登録。韓国教育財団碧夆奨学生として18年にニューヨーク大学ロースクール修了。その後、英エセックス大学ロースクール修了。24年から法務法人世宗の日本法弁護士。26年高麗大学大学院法学博士号を取得。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 韓国教育財団・碧夆奨学基金(海外留学助成制度) 
全米上位20位圏内のMBA課程に合格もしくは在学、日本の永住権を持つ韓国籍などの応募資格を設定。採用者には年間最大1200万円を給付する。
※「碧夆」は寄付者である徐東湖理事長の号

2026-02-11 2面
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