政府が「2035年までに温室効果ガスを60%削減する国家目標(NDC)」と「AI三大強国への躍進」との二つの目標を同時に掲げる一方で、肝心の原子力発電を軽視するという政策上の矛盾に陥っている。電力需要の急増が前提となるAI時代を目指すとしながら、温室効果ガスを出さない最も現実的な手段である原発の稼働には消極的。こうしたちぐはぐな姿勢が国家競争力の足かせになるとの懸念が広がっている。
CES2026で確認されたAIトレンドの核心は、画面上で結果を生成する段階にとどまっていた技術が、現実世界で直接「自律的に動作する存在」へと進化している点にある。ヒューマノイドロボットや自動運転プラットフォーム、産業自動化システムが登場し、AIが仮想空間を超えて物理空間へ拡張していることが明確になった。
フィジカルAIは、(1)環境認識(センサー・ビジョン)(2)判断(AIモデル)(3)行動(ロボット・機械制御)を一体のシステムとして統合する技術だ。生成系AIがテキストや画像、音声といったデジタルデータを扱ってきたのに対し、フィジカルAIは物理法則を学習し、人間のように物体を操作しながら、実際の業務を遂行、あるいは代替する。
現代自動車グループはロボティクスとAIを融合したモビリティビジョンを公開し、NVIDIAはロボット開発向けAIプラットフォームを前面に打ち出した。
とりわけ中国企業の台頭が目立った。複数の中国企業がヒューマノイドや産業用ロボットを公開し、技術力を誇示した。一部の製品は実証段階にとどまるものの、製造業大国として存在感を高める中国が、フィジカルAI分野でも急速に技術格差を縮めつつあることを示した。
韓国にとっての「好機」
CES2026は、韓国、米国、中国などが「完成型フィジカルAI」市場の主導権を巡り、本格的な競争に突入したことを告げる号砲でもあった。韓国は、グローバルなLLM競争では米国の巨大IT企業に比べ劣勢と評価されている。
一方で、製造業、ロボット、モビリティ、工場自動化分野では世界的な競争力を持つ。自動車、造船、半導体、スマートファクトリーといった分野で蓄積された世界最高水準のノウハウとデータは、フィジカルAI技術を高度化する上で大きな強みとなる。言い換えれば、こうした産業基盤こそが、韓国がフィジカルAIの強国となり得る潜在力だ。
ソウル市、「フィジカルAIベルト」構想
こうした流れを受け、ソウル市も市レベルの戦略を打ち出した。ソウル市はCES開催期間中、「ソウル型フィジカルAIベルト」構想を発表し、技術開発から実証、事業化までを都市内部で連結する青写真を示した。
フィジカルAIは研究室で完成する技術ではない。ロボットや機械が実際の空間で作動し、試行錯誤を繰り返す中で性能が磨かれる。アルゴリズムの優劣だけでなく、実証可能な空間と、それを支える制度環境が競争力の要となる。
このためソウル市は、良才洞のAI複合空間と水西駅一帯のロボットクラスターを結ぶ拠点を、30年までに整備する方針だ。
ソウル市のイ・スヨン経済室長は「フィジカルAI時代には技術だけでなく、実証環境と制度が不可欠だ。規制の合理化を通じて企業の成長を後押しし、ロボット産業のエコシステムを高度化していく」と述べた。
 | | | 世界最大のIT・家電見本市「CES 2026」が開幕した6日、現代自動車グループのブースに展示されたロボティクス「アトラス(Atlas)」 |