民団を中心とする在日同胞団体が9・10日、九州地方で韓日国交60周年を祝賀する行事や10月マダンなどの秋祭りイベントを行った。先月末の熊本での記念行事とともに、新旧定住者が和合を進めている九州地方の特色に迫る。
韓半島最寄りの地で交流
在日本九州韓国人連合会(沈炫秀会長)・在日本大韓民国民団熊本県地方本部(蔡鎭淑団長)・熊本県日韓親善協会(北里敏明会長)は10月25・26日の2日間にかけて、熊本市内の会場で「日韓文化交流フェスティバルin熊本2025~新たな未来を切り拓け『新風』」を開催、2日間で約700人が集まった。韓日国交60周年と忠清南道・熊本県の姉妹提携42周年を祝うイベントとして行った。
■熊本は姉妹提携42年祝う
初日の25日、熊本市内の栄通り商店街で”韓日の食の文化祭”として、忠南国際交流協会の支援により、多くの韓国屋台が並んだ。韓国のKPOP高校の生徒たちによるダンスの発表もあり、会場を盛り上げた。
26日、会場を市内のホテル熊本テルサに移し、韓日両国の伝統文化公演などが披露された。
10月26日、武蔵ケ丘高校吹奏楽部による「アリラン」演奏のもよう(写真=在日本九州韓国人連合会)
直接の参加が叶わなかった金泰欽・忠清南道知事はビデオメッセージを通じ「今日の祭りが新しい風になり、今後の忠清南道と熊本県、そして韓人会・民団・日韓親善協会との間に友情と協力が続くことを祈っている」とあいさつを行った。また、木村敬・熊本県知事は「国境を越えて人と人がふれあい、そして学び合うことこそが、真の相互理解の礎になると考える」と話した。 丁昶源・駐福岡大韓民国総領事館副総領事は祝辞を述べ、開催の準備を進めた関係者たちを労った。
■長崎は戦争の歴史を学ぶ
民団長崎県本部(姜成春団長)は9日、長崎県内の各所で「長崎地域同胞交流会」を開催、佐世保地域の新定住者を長崎に招き、本部・支部の役員含め約30人が集まった。
はじめに長崎原爆韓国人犠牲者慰霊碑を参拝。長崎原爆資料館でも戦争の悲惨さや平和の大切さについて参加者で考える時間を設けた。また、昨年開業した長崎スタジアムシティを訪れ、変貌していく長崎の”今”を感じながら、同胞間の親睦を深めた。
なお、今年の「長崎地域同胞交流会」は5月と11月の2回に分けて実施された。5月25日の行事には特別永住者や新定住者、留学生など約50人が参加。福岡県の太宰府天満宮を訪れ、古代の歴史ロマン溢れるスポットを満喫した。また、九州国立歴史博物館を訪れ特別展「韓国文化遺産の至宝~九博のコレクション」を見学。日本で初公開された朝鮮王室としてのラスト・プリンセスである徳恵翁主の婚礼調度品の鑑賞を参加者たちは楽しんだ。
■佐賀はマダン開催20周年
民団佐賀県本部(朴弘正団長)は9日、佐賀市内の656広場で「第20回ふれあい交流マダン」を開催、600人が会場に詰めかけた。
毎年恒例の韓国の伝統文化やKフードを満喫できるイベントとして、地域に根づいているが、今年は韓日国交正常化60周年とイベント開催20周年が重なった。昨年より参加者も多く、在日同胞家族や若い女性の参加が多かった。先に韓日草の根交流の地盤の強さがあり、韓流人気が地域住民の参加を後押しするかたちとなっている。
朴団長は、「『マダン』という言葉がこの地域では定着しており、ハングルでなく佐賀弁のようだと言われている。これからの20年も地域の行事として韓国を発信していきたい」と述べた。また、直接の参加が叶わなかった山口祥義・佐賀県知事は、「国と国の関係を深めるうえで、こうした温かな交流の積み重ねは何より大切だろう。今後も地域の大切なイベントとして日韓友好の象徴として末永く続いていくことを心より願っている」とメッセージを寄せた。
韓食屋台(チジミ・トッポギ・サムギョプサル・ホットク・ホルモン汁)は長蛇の列で、昼過ぎには完売。「来年は完売前に早く来る」などとリピーター参加者からの声があった。
■大分は阿蘇をバスツアー
民団大分県本部(金禎晃団長)は10日、熊本県内の各所で「韓日文化・歴史セミナー」を開催、団員と地域住民の30人がバスツアーを楽しんだ。
当日は天候に恵まれ、参加者一同が新阿蘇大橋ならびに阿蘇神社の見学を通じて、熊本地震からの復興の様子と、阿蘇の雄大な自然と歴史を体験した。地域住民の参加者から「普段交流する機会が少ない民団の方々と親しく話せて良かった」との声が寄せられたとのこと。民団大分の参加者からも「身近な人々同士での相互理解を深めることができた、貴重な機会になった」との声が上がっている。
なお、9日には民団福岡県本部(李鍾出団長)が大運動会を開催する予定だったが、天候の関係で中止となった。九州一帯で特徴的だったのは、相互に開催場所を提供するなど地域の連携が密であった点。韓人会・日韓協・総領事館などと民団が組織的に連帯しており、韓半島から最も近い地方として強力な韓日草の根活動が展開されている。 |