政治学者・翻訳家・選挙戦略アドバイザーなどの肩書きをもつ著者による日本での2作目。
本書は「自由民主主義とSNS選挙戦略」との副題が示す通り、単なる選挙の立候補者向けマニュアル本の域を超え、デジタル時代の人心掌握術のあり方、政治を志す者が持つべき心構えなどを伝える。戦略・戦術指南書としても読むべき価値を有している。
どんなに小さな選挙区から立つ候補者であっても、地域の公共に資する明確なビジョンなくしては、選挙に勝利することはできない。一方で、的確な広報戦略を展開して支持者を獲得、地域との互恵が期待できる公約などを打ち出しているのであれば、当選を果たせる。戦略をどう練るかが、何より重要であることを著者は繰り返し、読者に訴える。
著者の1作目『現代韓国政治の解明』(2023年)でも見られた、鋭い政治分析の洞察が本書でも発揮されている。新定住韓国人が日本の読者のために書いた選挙ハウトゥー本としても貴重。
平易で分かりやすい文章となっており、政治家を志す若者から一般の読者まで、多くの人に一読を薦めたい。
WORLD DOOR刊
定価=2640円(税込)
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