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最終更新日: 2025-10-22 01:45:34
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2025年10月21日 10:05
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時代を導く「指導者 李承晩」 (第6話)
金正珉 財団法人李承晩大統領記念財団責任研究員

国を失った子どもたちを教える

 

 「その日は私の準備段階を終わらせる日だったが、私は胸を痛めていた。私が帰り、働くべき韓国という国はもはや『私の国』ではなかったからだ」

米国で博士号を取得した日、李承晩博士は喜ぶことができなかった。祖国が国権を失おうとしていたからだ。間もなく1910年8月22日、韓日併合条約が締結された。日帝は05年11月に外交権を制限して以降、5年余りで大韓帝国の国際法的地位を完全に奪った。

李承晩博士は、併合条約締結の10日後、急ぎ帰国の途に就いた。国を失った子どもたちに学びの場を与えるためであった。李承晩はYMCA国際委員会によって、ソウルYMCA(皇城キリスト教青年会)韓人総書記に任命された。当時、ソウルYMCAはかつて独立協会の人々が大韓独立の精神を維持・継承していた民族教育の要であった。

学監の資格をもって李承晩が教えた科目は、聖書と国際法、国際政治史であった。韓国が将来再び独立し、韓国人が国際社会の堂々たる一員となるには、世界を理解する必要があった。生徒らは李承晩の教えを通じて世界の法的秩序とその背後にある力の論理を学び、そうした知的基盤の上で祖国の進むべき方向を思索した。

李承晩の教育活動はソウルを超え、全国の子どもたちにまで広がった。李承晩は全国を巡回し集会を開催したが、37日間の巡回で開催した33回の集会には合計7535人の生徒が参加した。当時の集会に参加していた宋鉄の回想によると、「昼夜を問わず努力して民族の新しい歴史を創造しよう」という李承晩の演説は全国の若者の血を湧かせた。そしてその若者の中には、のちに大韓民国の独立と建国に功を立てた人物らもいた。

愛国的性格を帯びたYMCA学生運動が全国に広がると、朝鮮総督府は警戒を強めた。国内における教育活動の制約が増す中、李承晩は世界監理教会大会の韓国代表に選ばれ、再び米国へと発った。しかしその前に必ず行くべき場所があった。それは在日同胞がいた日本だった。国を失った子どもたちがそこにもいたからである。

日帝の拘束対象となっていた李承晩は12年春、鎌倉で開催された「東京朝鮮キリスト教青年会学生大会」に出席するために日本行きを敢行した。大会は李承晩の演説で開幕し、盛況のうちに進行した。大会終了後も李承晩は在日同胞を何度も激励し、日本で留学している学生に向けた特別講演も実施した。

講演のテーマは「韓国人学生に寄せる期待」だった。李承晩博士は学生たちに民族精神を鼓舞し、将来的な韓国独立のビジョンを共有した。彼は未来を担う子どもたちに大きな期待を寄せていた。李承晩の講演を聞いた留学生らは、国内で展開されているキリスト教学生運動と、日帝の弾圧を知り、独立に対する意思を確固たるものにした。

李承晩の努力は目に見える成果につながった。当時の東京朝鮮YMCA目下の課題は独自の会館を建てることだった。日本の中心でも民族精神を守り、独立運動を展開する拠点が必要だったのだ。しかし李承晩の講演終了後、167人が会館建設資金として1362円50銭(現代に換算すると約600万円)を寄付した。YMCA国際委員会は韓人の意志を確認し、会館建設のため補助金を出した。

14年に建てられた朝鮮キリスト教青年会館は、留学生の寮や講演会場、礼拝堂などとして用いられ、独立運動の拠点となった。そして19年、留学生が東京で韓国の独立を叫んだ「2・8独立宣言」の歴史的場所ともなった。李承晩の教育活動を基に、留学生団体「東京朝鮮人留学生学友会」が結成され、鎌倉学生大会も年次行事となった。

短期間ではあったが、李承晩は東京滞在中、留学生たちを誠心誠意教えた。彼の講演を聞いた学生の中には、のちに大韓民国臨時政府の要人や、独立運動の中枢的役割を担った人物もいた。主権を「奪われた国」で教育に身を捧げた指導者・李承晩は、「奪った国」の地でも教育を止めることはなかった。

     李承晩博士の送別会(前列右から3番目)

2025-10-22 3面
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