米国と中国の貿易摩擦が再び激しさを増す中、中国が「HanwhaOcean」の米国子会社に対し制裁を科した。慶州でのアジア・太平洋経済協力(APEC)首脳会議を前に、両国が牽制のうえで「チキンレース」を展開した結果、韓国企業が犠牲となった形だ。
中国商務部は14日、「反外国制裁法」を基に「HanwhaOcean」の米国内子会社5社を制裁リストに指定し、該当法人は中国国内の企業・個人との取引が全面禁止となる措置を講じた。制裁対象には、8月に李在明大統領が訪問したペンシルベニア州フィラデルフィアの「Hanwha フィリー造船所」や、米国市場進出のため「HanwhaOcean」が買収した「Hanwhaシッピング」などの主要子会社が含まれていた。
中国による今回の措置は、米国の対中圧迫策に対する報復である。米国は貿易法301条に基づく調査を通じ、14日0時から中国所有・運航の船舶に対して1トンあたり50ドルの港湾サービス料金を課し始めた。
中国商務部は「『HanwhaOcean』の米国子会社が米国政府による対中調査に協力・支持した。これは中国の主権・安全・発展の利益を侵害した行為だ」と制裁の理由を説明した。ただし、米国内の豪州、イタリアなど他国企業の造船所は制裁対象にはなっておらず、韓国企業だけが標的にされたとの見方もある。
業界では、今回の制裁が「HanwhaOcean」に与える直接的打撃は限定的かもしれないが、「警告」としての影響力は非常に大きいとの見方もある。「韓国が米国への協力を続けるなら、次の制裁もあり得る」とのシグナルとも捉えられており、他企業への牽制球ともなっている。
この事態は、2016年のサード(THAAD)配備以降に発生した中国の経済報復と同様に広がりを見せるとの懸念もある。最近、米国と中国はレアアース規制、100%追加関税、農産物の貿易ストップなど、全方位的な圧迫戦略を続けており、韓国の産業界では半導体やバッテリー、鉄鋼といった主力産業が次の標的になり得るとの危機感を募らせている。
根本的対策として、両大国への過度な輸出依存を減らすべきだとの指摘もある。上半期の時点で韓国の輸出における米中両国の比率は36%に達しており、米中に偏っている輸出依存度を下げ、市場や品目の多角化を模索するべきだとの声が上がっている。 |