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最終更新日: 2025-10-02 03:13:28
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2025年09月30日 12:53
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ドラマと文学で探る韓国21
痛みの記憶が癒されるのは

 見ず知らずの誰かと一日過ごさなくてはならないとしたら、まずは何から始めるだろうか。自己紹介? まあ、そうだろうが、特別何もしなくてもいいかもしれない。自己紹介もせず、何も決めず、ただそこにいるだけでも時間は過ぎる。気まずさはあっても、スマホをいじったり、雑誌でも読んでいれば時間は存外早く過ぎるものだ。ところが、相手がもしもASDだったら? 相手の出方がわからず、つい過剰に反応して最悪の事態を引き起こしてしまう可能性もある。
『宣陵散策』の主人公はまさにそんな、のっぴきならない状況に追い込まれていた。自閉症の青年ドゥウンと朝9時から夕方6時まで過ごす。ケガしないように注意する。主人公に課せられた任務はそれだけだ。だがしかし、たったそれだけだからこそ、何から始めたらいいかわからない。主人公は、仲良くなろう、話しかけなきゃ、と必死になる。歩き続け、いつのまにか宣陵(朝鮮第九代王・成宗と貞顕王后の陵)へとやって来る。周囲の反応が気になって仕方がない。きまり悪いが話しかけ続ける。暴れる彼にどうにか食事をさせ、吠えたてる犬を追いやって、なんだか信頼を得たような気持ちにさせられる。そこで済んでいれば、主人公にこのバイトを紹介した先輩やドゥウンの保護者から感謝されて終わったはずだ。が、そうはいかなかった。バイト時間延長後、不良少年らに絡まれたドゥウンは自分自身にパンチを繰り出してしまう。血だらけのドゥウンを見て、保護者の女性は主人公を激しくなじる。ケガさせるなと言ったのに! 先輩からも、怒りのメッセージが携帯に届く。
不思議なことに、この展開は決して絶望的ではない。主人公は、ドゥウンは一体何者だったのだろうとのんきに自問するが、そこにはいくぶん晴れやかさが感じられる。理解とまではいかなくても、ASDへの不安や拒否反応は薄らいだと言ってもいいだろう。さらに、お互いだけが知る秘密をドゥウンと共有したかのようにも受け取れる。やはり先輩が彼を選んだ理由としてあげた「馬鹿がつくほど実直」は正しかったようだ。
一方、ドラマ『ムーブ・トゥ・ヘブン』では、父親の粘り強い寄り添い方によって、グルは毎日自分のルールに沿って規則正しく暮らし、仕事もこなす。彼が苦手とするのはルーティーンを破られることだ。父親の死後、グルのもとにやってきた叔父のサングは規則正しさとは対極の人間だ。ルーティーンを破るのなんかは朝飯前。もともと兄(グルの父)との間に葛藤を抱えていたサングだったが、グルとの暮らしのなかで、兄の本当の姿が見えてくる。このドラマの秀逸さは、遺品整理を通してさまざまな人生をきめ細かく描いている点だ。そのひとつひとつがグルにとって、またサングにとっても共感を呼び起こし、家族のきずなや人それぞれの生き方があることを教えてくれる。グルの父は、グルが学校を退学になった時、人とちがうのは悪いことじゃない、そのままでいい、と言って、決してグルを否定しなかった。やがてサングもそんなグルに寄り添い、彼のそばで後見人として生きる道を願うようになっていく。
小説とドラマは設定もキャラクターも違うが、互いを認め合い、絆を育もうとする気持ちが共感を呼ぶのではないかと感じさせられる。さまざまな人が暮らすこの社会が、どんな人にとっても共感を呼ぶ社会であることを願わずにはいられない。

2025-10-01 6面
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